第12回「北海道/美深町編」
※「北海道/中頓別町編」はこちら
北海道の北の果てに、すごい文学の町があるという噂を聞いて、
やってきました。美深町(びふかちょう)です。
稚内と旭川のほぼ中間に位置する町です。
電車を降りると、見渡すかぎりの銀世界!
ここ美深町は、村上春樹さんの『羊をめぐる冒険』の舞台ではないかと言われ、
ハルキストの間では、有名なのです。
主人公の僕と耳の美しい恋人が、背中に星形の模様のある羊と親友である鼠の行方を追って、
北海道の北の果てにやってきます。列車を乗り継いで到着したのは「十二滝町」という場所でした。
駅が、赤レンガでかわいい。
美深駅の何がすごいかというと……。
駅の中に、ミニ村上春樹資料館があるのです!
正式名は、「村上春樹文庫」。
『羊をめぐる冒険』に登場する場所がどこであるか、
かなり詳しく検証されていて面白いです。
この町には、「十六滝」があり「十二滝町」という小説のイメージにぴったり。
例えば小説に出てくる「不吉なカーブ」は、
ここじゃないか……とか。調べ尽くしています。
もちろん関連書籍も充実しています。
村上さんの小説やエッセイなど約80冊が並んでいます。
駅の中に、こんなライブラリーがあるのを見た事ありません。
美深町の試み、素晴らしいです。
『羊をめぐる冒険』の小説の中に登場する「十二滝町の歴史」という箱入りのぶ厚い本は、
この本がモデルだとか。
駅を出ると……特に、何もありません。
いきなり住宅がずらり。タクシーもいません。
本屋さんは、どこにあるのでしょうか……。
聞いてみると美深町の本屋さんは、一軒だけとのこと。
駅の近くだったので、さっそくお邪魔してみると……。
なんと、本がたくさん! かなり充実しています。
しかも、創業100年以上という歴史のあるお店でした。
雑誌も、かなり揃っています。
やはり北海道に関する資料が多めです。
文房具屋さんを兼ねている本屋さんは、地方に多く見られますね。
文房具の種類も、かなり充実していました。
そして、『文藝春秋』もあります。
村上春樹さんの作品も揃っています。
やはり小説の舞台と言われるだけあって、おすすめコメントも書いてありました。
「松山農場」の柳生佳樹さんに牧場を案内してもらいました。
こちらが、羊小屋。
冬は、室内で暮らしています。
すごい数の羊です! 確かに、これは『羊をめぐる冒険』そのものです。
ちょうど赤ちゃんが産まれたばかり。
仔羊が、よろよろ歩いていてかわいいです。
『星の王子様』に出てくる羊、そっくり。
柳生さんの経営する宿「ファームイン・トント」へ。
『羊をめぐる冒険』に登場する鼠の別荘そっくりです。
イギリスのBBC放送が、撮影に来たこともあります。
宿に入ると、いきなり大きな本棚。
羊に関する資料がずらり!
『羊をめぐる冒険』に関する貴重な資料も並んでいます。
羊男が訪ねてきそうな雰囲気です。
宿は、白樺に囲まれています。
柳生さんが採った白樺の樹液「森の雫」も売られています。
春に雪解け水を吸い上げて芽が出た時、採取する樹液は、
ほんのり甘味があり、美味しいのです。
柳生さんの奥様が作る白樺樹皮細工もすてきです。
白樺の樹皮を使って手作業で編み込んで作られています。
ひとつひとつ色も形も違うオリジナルな作品。スリッパがカワイイ!
そして、こちらでは、毎年『羊をめぐる冒険』の草原朗読会が開かれています。
今年でなんと5回目! 6月に開催されます。
興味ある方は、ぜひご参加ください。
http://www.bifuka-kankou.com/roudokukai.php
もしかすると、定期的に開かれている朗読会としては、日本最北端かも?
すっかり有名になってしまった北海道の中頓別町のすぐ近くに、
こんな素晴らしく文学的な場所がある事を、ぜひ知ってほしいと思います!
[世界の果ての本屋さん:第12回 了]
(次回は、「パラグアイ編」です!)
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〈美深町について〉
郡:北海道 上川総合振興局 中川郡
面積:672.14平方キロメートル
人口:4,783人(住民基本台帳人口、2013年12月31日)
人口密度:7.12人/平方キロメートル
町の花:ツツジ
町の木:エゾマツ
アクセス:
(車の場合)札幌から約3時間半(札幌~旭川間は高速自動車道を利用)
旭川、稚内からそれぞれ約2時間
(JRの場合)札幌から約2時間35分(札幌〜旭川間は函館本線特急、旭川〜美深間は宗谷本線特急)
稚内から約2時間20分(宗谷本線特急)
[Wikipedia、北海道美深町 Official Web Siteより]
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