第28回「アメリカの空港編」

アメリカの空港は、中米や南米に行く時のトランジットで、よく降ります。
しかも、長時間、暇になることが多いので、本屋好きには、至福の時間となるのです。
5時間とか8時間とか待つこともあります。

アメリカは、中国と並び世界有数の出版大国。
全世界の出版物の1/4は、英語らしいので、多いのもうなずけます。

よく日本では「赤文字系雑誌」とか、「青文字系雑誌」とかいいますが、
アメリカの雑誌は、圧倒的に「赤系」が多いのが特徴ですね。
日本同様、20〜30歳代の女性を対象としたファッション雑誌がたくさん出版されています。
ファッション雑誌の原点といえば、1867年創刊の『ハーパース・バザー』と1892年創刊の『ヴォーグ』が、いまでも世界で最も影響力があるファッション雑誌として君臨しているのがすごい……。
ちなみに日本でもおなじみのモード系ファッションのバイブル『NYLON（ナイロン）』も、アメリカの雑誌でした。

南米から帰ってくるときに空港に降り立った際は、その情報の多さに打ちのめされます。
ファッション、グルメ、スポーツ、車、バイク、ライフスタイル。
こんなに多くの雑誌が出版されていることに驚かされます。

ベストセラーの棚も、入れ替えが激しいのが特徴。話題の新刊が出るとランクインするという構造は、日本と同じですね。

こちらは、少し前からヒットし続けている、『The Zombie Survival Guide（ゾンビサバイバルガイド）』。
全世界で200万部以上売れ、映画化された『WORLD WAR Z（ワールド・ウォーZ）』の著者マックス・ブルックスのベストセラー本です。
ゾンビの性質、身体的特徴、行動パターン、ゾンビと戦うための適切な武器、戦闘技術、ゾンビ大発生中の逃亡法などなど。人類最大の敵、ゾンビの襲撃から生きのびるために実際に役立つノウハウが書かれています。これは、アメリカならではのジョークですね。

そして、アメリカといえば、ダイエット本。

「すぐやせる」「やせる生活」……など、似たような本がとにかく多い。

そんな中、異彩を放っていたのが、『8時間ダイエット（THE 8-HOUR DIET）』！
太る理由は、食べる時間の「長さ」だった!?という画期的な論理で書かれています。
朝食、昼食、夕食を8時間内にすませ、16時間食べない時間を設けることで、
体が本来持っている修復機能を向上させ、代謝が上がり、自然とやせていくという仕組み。
好きなものを、好きなだけ食べてやせられるダイエット本だなんて、確かに売れそう……。

中央に並べられた『LEAN IN（リーン・イン）』は、フェイスブック最高執行責任者、シェリル・サンドバーグの本。
なぜ女性リーダーが生まれにくいのでしょうか？といったテーマの本。

下の段の『THE BACK OF THE NAPKIN（ナプキンの裏側）』は、いろいろな本屋さんで見かけました。
著者のダン・ロームは、経営コンサルタント会社Digital Roamの社長。
独自のビジュアルシンキングというユニークなアプローチで、問題を解決してきました。
ロシア企業のコンサルタントを引き受けた際に、ロシア語が話せないのに、このビジュアルシンキングの手法で大成功したのだとか。
『描いて売り込め！　超ビジュアルシンキング』というタイトルで、日本でも出版されています。
これ面白いです。僕もこれ買いました。

そして、アメリカの空港で注目すべきは、「iPad」が売っている自動販売機。

さすが、世界最大の家電量販店ベスト・バイ（Best Buy）。やることが大胆です。

iPadだけでなく、ケースやヘッドフォン、「GoPro」のミニカメラまであります。

場所によっては、ニンテンドーDSの本体やソフトが購入できる自動販売機も。
退屈な空港での待ち時間が、すてきなテーマパークに早変わりします。

「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪を引く」といいますが、
日本も近い将来こんな自動販売機が溢れて、
その場でダウンロードした電子書籍を読む時代がやってくるのかもしれません。

［世界の果ての本屋さん：第28回　了］
（次回の世界の果ての本屋さんは「ニカラグアの空港編」です！）

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〈今回の撮影地：ロサンゼルス国際空港（Los Angeles International Airport）〉

所在地：カリフォルニア州ロサンゼルス市（アメリカ合衆国）
IATA（空港）コード：LAX
乗降客数：約5900万人（2008年、世界第6位／アメリカ第3位）
離着陸回数：62万2378回（2003年）
ハブ空港とする航空会社：アラスカ航空、ホライゾン航空、ユナイテッド航空
旅客ターミナル数：9
日本からのアクセス：成田空港より直通便で9時間50分〜10時間10分ほど
公式サイト：http://www.lawa.org/welcomeLAX.aspx
［参考：Wikipedia、FlyTeam］