校正者・牟田都子さんに「校正」にスポットを当てた本を6冊ピックアップしていただきました。
【「校正ナイト」レポート本編はこちら】
1/5:「生まれ変わっても、泣きながら校正者をやっているかも。」
2/5:「根性論で校正はできません。」
3/5:「誰もが見逃すはずはないと思う大きな文字ほど、逆に恐ろしいくらいにみんな見落とす。」
4/5:「ゲラから著者の思いをどれだけ汲み取れるかに尽きると思うんです。」
5/5:「慎重を期して指摘をしても、著者の逆鱗に触れてしまうこともある。」
1■井上孝夫『その日本語、ヨロシイですか?』(新潮社、2014年)
新潮社校閲部部長だった著者の、何十年もの経験が詰まった本。表記で悩んだり、週刊誌で大誤植を出したり。今、現場で働いている校正者が読むと、すごく勉強になるし身につまされます。(牟田)
2■大西寿男『校正のこころ 積極的受け身のすすめ』(創元社、2009年)
「校正ナイト」にも参加していただいた、校正者・大西さんのご著書。最近再読したら、「積極的受け身」という言葉がすごく胸に迫ってきました。校正者は常に受け身であって、自分から仕掛けていくことはできない。でもその中で何ができるか。校正者の気持ちを代弁してくださっている本です。校正の歴史も詳しく書かれています。(牟田)
3■講談社校閲局編『日本語課外講座 名門校に席をおくな!』(講談社、2007年)
「校正あるある」です。こういう誤植、あるなー!っていうものを集めた本。校正の仕事をしていない人でも、読み物として面白いんじゃないでしょうか。(牟田)
4■川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』(講談社、2011年)
校正者を主人公にした小説です。校正者に取材されて書いたと聞いています。校正者の日常がとてもよく描かれているんじゃないかと思います。(牟田)
5■小川洋子『とにかく散歩いたしましょう』(毎日新聞社、2012年)
この中の「自らの気配を消す」というエッセイで、著者の方が校正・校閲の仕事をどう思っているかをすごく温かく書いてくださっています。私は涙ぐみながら読みました。(牟田)
6■福岡伸一『ルリボシカミキリの青』(文藝春秋、2010年)
本を作る現場では、たとえ事実に反していて校正者が指摘をしていたとしても、著者がその表現を残したいと思えばそのままにする場合があります。この中の「活字の未来」というエッセイでは、そのことについて書かれています。校正者に敬意を払いつつも自分の表現を優先したかった、と述べられていて、とてもありがたかったです。(牟田)
[【番外編】牟田都子さんおすすめ「校正の本」6冊 了]
取材・構成:石田童子
(2015年5月9日、6次元にて)
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