INTERVIEW

DOTPLACE GALLERY

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#097:小川哲

今月の1枚(※クリックで拡大できます)

今月の1枚「ちえのみことのは」(※クリックで拡大できます)

今月の1枚(※クリックで拡大できます)

今月の1枚「こずえのかたちはよいかたち」(※クリックで拡大できます)

気鋭のクリエイターを月替わりで起用し、本/読むこと/書くこと/編むことにまつわるグラフィック作品を展示する「DOTPLACE GALLERY」。2022年10月期の担当は、世界にカタチを問いかけるような、幾何学的な水彩表現が魅力的なイラストレーターの小川哲さんです。自然のカタチがもつ叡智がひびき合う、2つの作品を描きおろして頂きました。

小川哲さんに聞きました

——どのようなイメージまたはコンセプトで今回の作品を制作されましたか。

「本」や「文字」、「ことば」について考えていた時に「知恵の実」や「言の葉」といった単語が連想されました。
木の実や鳥、葉っぱ、その模様、というものはよく描いているモチーフなのですが、普段のままの作品がスムーズに「DOTPLACE」という場所につながった、という次第です。

——普段、作品制作の上で重視していることは何ですか。

緊張よりも脱力を意識して描くようにしています。たとえば、口笛がきこえてくるような。描いた絵を見る人が、しかめっつらよりも笑顔になるような。
作品制作の進め方としては、描きなぐりの下描きからパソコンで下絵を作り、下絵に沿って紙を切り出して、水性インクで色をつけ、裏からテープで貼り合わせて完成させています。タイル画やコラージュのような考え方、ともいえるでしょうか。そういうふうに準備を整えて、あとはただただよい気分で絵の具を滲ませたり、紙の上で混ぜたり、下描き線からはみ出したりさせています。また、アドリブで鉛筆の描き文字を入れたり、描く紙自体を染めたり汚したりしてノイズを入れて、ということもしています。
「紙に描いてある絵」ということとその存在感、指先の汚れていく感触、その場の楽しみが伝わることに魅力を感じています。

——小川哲さんにとって大切な本を1冊挙げるとしたら何ですか。

保坂和志『世界を肯定する哲学』です。
もう何回も読んでいて、その度に「わからない、とどかない」という気持ちが強くなるというかはっきりします。そもそも細部はすぐに忘れてしまうので、その都度、初見のように読んでいますが。でもその「わからない」や「とどかない」はまっくらやみだったり、虚無や孤独を感じるものではなく、タイトルの通り、「肯定する」ものであるように感じます。
「わからない世界というもの」について考えることと、「わからない絵というもの」について考えることは多く重なるように感じていて、自分が絵を描き続けるエンジンのようになっています。本は基本的には「わかるように」書かれるもので、この本のように、「考えるという進行形」であるような本をほかにあまり知りません。絵もまた「こたえ」ではなくて「ひろがる考え」であるように思います。大切な本です。いつの間にか2冊持っていました。

——今後のご活動について何かございましたらどうぞ。

11月に大阪で、2023年1月に日立市のO’keeffeで個展を予定しています。
来年は東京以外の場所での展示を増やそうと計画を立てています。お近くにお住まいの方はぜひお越しください。

[DOTPLACE GALLERY #097:小川哲 了]


PROFILEプロフィール (50音順)

小川哲(おがわさとし)

1972年島根県生まれ、セツ・モードセミナー卒業。水彩やコラージュの要素を用い、シンプルなかたちやパターンの要素をとりいれたリズミカルな作画で活動。個展の開催、プロダクト制作、陶器作品の制作などに力を入れている。