COLUMN

クレイグ・モド ぼくらの時代の本

クレイグ・モド ぼくらの時代の本
第3回 テキストに愛を ――こんなEリーダーが大事

craig_banner_03Illustration:Luis Mendo
 

    スタイルというものはお金じゃ買えない
    ――余計な飾りについて ウィリアム・ジンサーの言
    同じ本を読んだ2人の人間のつながりほど
    深遠なものはない
    ――Cursor代表 リチャード・ナッシュ

 
93年のCD−ROMじゃあるまいし、
ビデオミックスとか、
新しい「インターフェースのパラダイム」とか
って言うのやめようぜ。
 
「テキスト」について語ろう。
電子本を語ろう。

 
 
 

みっともないナキワカレやトビオリなどなど

 
雨のそぼ降る日曜の午後、都心のカフェでどうにかiPadで本を楽しもうとしている。でもダメだ。フォントもなっちゃないし、綴り間違いがあるし、変なところでページが切れてたり、ナキワカレや、表が切れちゃってたりして気が散る。そのとき、このガラスと金属でできたすごいモノを手にして何週間にもなるのに、10ページも進んでないことにハタと気づいた。
 
何がいけないんだろう?
 
iPhoneでもう何度も小説を楽しんだんだから、スクリーンのせいじゃないな。テーブルや膝の上に置けばどうってことないから、重さのせいじゃないな。
 
問題はもっと単純なことで、電子本を読むにはiBooksやKindleのアプリはEリーダーとしてイマイチなんだ。デジタル本なのにヘタクソなまま組まれたPDFみたいで、読書体験のジャマになるからなんだ。
 
もっとまともなものができるはず。(作らなきゃ。)
 
だけど、インターフェースやデザインの問題よりも深いところで何かがチクチクする。アプリがデジタルテキスト独特の持ち味を完全に無視しているからだ。読み手が電子本を読んでいるときのメタデータを無視しているからだ。
 
このエッセイでは以下の2点の問題を考えてみる。
 
1 既成のEリーダーの何が悪くて、どこをどう作り直せばいいのか?
2 デジタル化されたテキストを読むとき、どういうメタデータが生まれて、どうやってそれを正しく利用できるEリーダーを作り、さらにそれがどう我々と本との関係を変えていくか。
 
まず、デザインと使い勝手という2点からEリーダーを見てみよう。そしてそれからどうやったら本当にデジタル本の「デジタル」な要素を活かせるのか考えてみる。
 
 
 

Eリーダーの現状

 
iBooksとKindleのアプリを並べてみると、デザインが根本的に違うところが見えてくる(訳注:以下は2010年当時の話。その後iBooksとKindleのデザインがどう変わったか、お手元の最新バージョンと比較されたし)。iBooksはテキストを開放してるんじゃなくて、3Dの本よろしく、読者の視界にズカズカのりこんでくる(図1)。一方、Kindleのアプリは、iPadの白く広いスペースにテキストを浮かせるように流している。
 
Kindleのページデザインでは、ナビゲーションの要素がそれぞれのコンテキストに収まっていて、自分のライブラリーに戻るとか、左右のマージンにブックマークを入れるといったメタ操作が読書の邪魔にならない。ナビゲーションや文字の大きさを変えるなどの直接的な操作は画面中央の下に現れる(図2)。
 
一方でiBooksは、メタ操作と直接的な操作をゴチャ混ぜにしている。文字部分の外側が、いい加減なメタファーで埋まっている。

図1 iBooksアプリ――ナビゲーション要素を表示した画面

図1 iBooksアプリ ――ナビゲーション要素を表示した画面



図2 Kindleアプリ――ナビゲーション要素を表示した画面

図2 Kindleアプリ ――ナビゲーション要素を表示した画面

iAのオリバー・ライゲンスタイン(Oliver Reichenstein)★1 は、このiPadのメタファーを「キッチュ」と切り捨て、特にiBooksに顕著だと指摘している。

    最初のページから最後のページまで、アプリの画面の左右に、見た目の変わらない厚さのページを表現しているのは、視覚的に間違っているだけじゃなくて、ややこしい。感覚的に間違っているし、それはおかしい。キッチュだ。

紙の本をメタファーにしたデザインに真の価値があるとしたら、たとえば、実際にあとどのぐらいのページが残っているのかを示せるように紙の厚みが変わるのなら利用価値があるかもしれないが、Appleのユーザーインターフェースでは、表向きのデザインにしか過ぎない。特にこういったメタファーが、人目を惹くだけで、すぐに飽きてしまうものだとしたら。そしてそれこそまさに、いいインターフェースデザインが目指す(静かに、成熟していくという)反対のところに向かっている。
 
Kindleのアプリはこのキッチュな罠に陥っていない。最小限に「本の感じ」を保ちながらスッキリしている。ページをめくる表面的なアニメーションで画面の隅を余計なメタファーでゴチャゴチャさせていない。ナビゲーションバーを隠してしまえば時計も消えてくれる。(余計なものといえば、iBooksさん、時計つきだなんて最悪だと思わない?)この機械を使ういちばん初めの目的、つまり「読む」ことになんとか集中させてくれる。
 
図3と図4は両方のアプリを、いちばんスッキリさせた画面。どっちが読みやすい?

図3 iBooksアプリ――ナビゲーション要素を非表示にした画面

図3 iBooksアプリ ――ナビゲーション要素を非表示にした画面

図4 Kindleアプリ――ナビゲーション要素を非表示にした画面

図4 Kindleアプリ ――ナビゲーション要素を非表示にした画面


 
 
フォント
 
iBooksはタイポグラフィの点でも問題が多い。Font Feedのスティーブン・コールズ(Stephen Coles)★2 はiBooksのフォントの種類(とiPad全体)についてこう語る。

    もし出版社/デザイナー側に本のフォントを選ぶ自由がないなら、――サム・ウィック(Sam Wieck)は、これがそもそも問題だとも言っているが ★3 ――ユーザー側でもう少しましなフォントを選べるようにするべきだ。だが残念なことに、Appleには(Monotype社の)Baskerville、Cochin、Palatino、Times New Roman、Verdana(訳注:いずれも欧文フォント)しかない。この中で本を読むのに適しているのはPalatinoぐらいしかないと言えるだろう。


Kindleのアプリもフォント天国とは言えないが、まだましだ。コールズはこう続ける。

    Appleと違って、そこの部分はAmazonはちゃんと下調べをしたようだ。PMN Caecilia ★4 はタイポグラフィの専門家以外にはあまり知られていないが、読みやすさという点では最も優れたフォントの一つで、メリハリの強すぎないスラブセリフ体はKindleによく合っている。

 
 
デバイス間での同期
 
iBooksに欠けているのは、現代のソフトウェアデザインのコア機能であるクラウドシンク(訳注:どのデバイスからアクセスしても情報が同期されていること)だ。ティム・オライリー(Tim O’Reilly)も最近のNYタイムズの記事 ★5 で、Appleでは信頼性の高い同期操作ができないことに言及している。

    iPhoneとiPad間でのメディアとアプリの同期の詰めが甘い。Appleのサービスに取り込むための「おとりのドラッグ」となるべきMobileMe(訳注:Apple会員向けのクラウドサービス)が、顧客のごく一部だけが利用する付属サービスとして売られている。もしAppleが勝ちたいのなら、インターネットサービスにおけるネットワーク効果をもっと理解しないといけない。勝負のためには利益を犠牲にする覚悟で、初期のリードを武器にユーザーをよりAppleのサービスに取り込む。そのチャンスを逃してはいけない(訳注:有料サービスとして提供されていたMobileMeは、その後無料サービスのiCloudに移行)。

今の時点では、Kindleのアプリなら、寝る前にiPhoneを使ってベッドで本が読める。次の朝、iPadを出してコーヒーを飲みながら、簡単に、読み進んだところからまた読み始めることができる。もしKindle端末を持っていたら、通勤途中に同じ本を開いてまた最後のページから読み続けることができる。
 
複数のデバイスが増える環境では、こういったユビキティー次第で(いつも同期されているGoogleドキュメントみたいに)どのアプリが使いやすいか、あるいは(Pages ★6 からファイルをiPadに移すときみたいに)★7 面倒くさいものになってしまうかが決まる。
 
 
ショッピング
 
iBooksにひとつ、よくできたものがあるとすれば、それはiBookstoreだ。iBooksのアプリに違和感なく組み込まれていて、本を眺めて、買って、読めるインターフェースが継ぎ目なくできている。Kindleのアプリだと、iPadやiPhoneでウェブブラウザを立ち上げないとどんな本があるか分からない。アプリ内でそのまま衝動買いするか、面倒くさいからいいや、とやめてしまうか、の重要な分かれ道だ。
 
だが、AmazonにはKindle版や無料お試し版をすぐにiPad、iPhone、Kindle端末に送れるバツグンのオンライン書店がある。これはぼくがいつもノートパソコンでも使っている機能で、Appleの優位もいっときだけのものかもしれない。AmazonがKindleアプリからそのまま買えるオンライン書店アプリを作ることは容易いが、Appleが多機能のオンライン書店を作るには時間がかかるからだ。
 
 
恥!
 
もちろん、本が読みにくいとなれば、どんなにオンライン書店がすごくてもしょうがないだろう? ぼくがiBooksよりもKindleアプリに一票を投じるのは、そっちの方がまだマシ、だからだ。両方のアプリとも、単に紙の本をスキャンして作った安っぽいPDFファイルに毛が生えたようなものに過ぎない。もし、デジタル化の効用を最大限に活かしたEリーダーが欲しければ、今から作り直さなければならない。
 
 
 

ほんとうに欲しいEリーダーとは

 
性善説を信じたい。DRMフリーの本を盗むか、そこそこの値段がついたDRMフリーの本を買うか、の選択を与えられたら、ほとんどの人はお金を出すだろう。で、全部コピペしてオンラインにさらしたりしないと信じたい。こういう前提がなければ、電子本は実現しない。
 
何がこれからのEリーダーを定義するのか? ライザ・デイリー(Liza Daly)がまとめてくれている。

    真に現代的なEリーダーとは、ウェブに密に直結していて、読んでいる間や、読み終わった直後にユーザーが、そこから派生した疑問を解決できるものだ。

この表現はかなり気に入っている。疑問を解決、ってのがちょっと曖昧なところがいい。おそらく彼女もウェブサーチという意味では使っていないはずだ。電子本を開くたびに広がりを持った新しいデータが構築される。読者の疑問を受け止めてそのデータにアクセスさせてくれるEリーダーであるべきだ。
 
その前に、アプリが何かを忘れちゃいけない。文章が読める空間だ。その基本的なところをちゃんとやらないと、そもそも取り組む価値もない。
 
 
 

Eリーダーの基礎

 
紙の本も電子の本も、その中核はテキストだ。本のデザイナーは長年、デザインそのものがテキストを影で支える役割を果たすためにいろいろな約束事を作ってきた。本という物を、有効かつ優雅に情報が得られるツールとして、読者の心に届けるように心がけてきた。多くの優秀なタイポグラファーが知っていること、それはタイポグラフィが目に付く主役になってはいけないということだ。
 
今出ているEリーダーはこの原則を忘れてしまったかのようだ。究極の目的は、なるべく意識しないで自然にテキストを届けること、すなわち、そうっと読者を物語の中に引き込むことだ。本を読む醍醐味はそれにつきる。
 
最後の最後に、Eリーダーが改善しなければならない点はここだ。(この点はローマ字の本向き。日本語の本はもちろんちょっと違うけど。)
 
 
ハイフン
 
なんでハイフンの原則が飲み込めないのかがわからない。EucalyptusというiPhone用アプリでは、ハイフンをそこそこうまく扱えている。AppleもAmazonもできるはずだ。
 
 
でこぼこの右側
 
これは言うまでもないこと、ということにしておこう。なんでほとんどのEリーダーが均等配置のオプションを付けていないのかが理解できない。
 
 
もっとスマートなマージン
 
1行の長さとマージンは、どのフォントを使うか、どのサイズの文字を使うか、そして画面の形や大きさに深く関連している(図6)。 Instapaper ★8 みたいに、読み手が文字間の空きや、マージンや、文字の大きさを選べる。が、読み手はタイポグラファーではないので選んでもらう必要はない。こういった要素はページのデザインの基本で、論理的なバランスに基づいている。Eリーダーでバランスの良いアルゴリズムを決めておけるはずだ。

図5 ハイフン ――文字を大きくすることで読みやすさが変わる例

図5 ハイフン ――文字を大きくすることで読みやすさが変わる例

図6 1行の長さと文字の大きさ ――文字が大きければ幅をとる

図6 1行の長さと文字の大きさ ――文字が大きければ幅をとる


 
コピペ
 
コピペができないなんて冒涜だ。その考えはわかる。出版社側としては本全体を簡単にコピペしてもらったら困るわけだ。その姑息な気持ちがDRMの形式をとっている。
 
どうやってもずるがしこいヤツらはテキストを盗んでさらす方法を見つけるだろう。そうでないぼくらの多くにとっては、自由にコピペができないのはすごく不便で、せっかくデジタル化されたテキストの加工性や利便性が失われる。こういうしょーもないDRMは、ユーザーが右クリックでウェブ画像を保存できないようにJavaScriptを使うのと同じで、結局バカバカしい上に無効だ。
 
今の時点では、印刷された本は、どんなKindle本やiBooks本よりも細かいところに気が利いていて優雅だ。
 
電子本の多くは変なページ割りや、壊れた表がそのままになったOCRスキャンに過ぎず、読む体験としてここまで劣るものに紙と同じ値段を払うのはバカバカしいだろう。デバイスが悪いのではなくて、プレゼンテーションに配慮が足りないせいだ。電子本を読む体験も、もっと基礎を固めれば良いものになる。
 
ブリングハースト(Bringhurst)が言うように、タイポグラフィは読んでもらうきっかけとして目を引かなければならない。だが、いったん目を引けば、読まれるために裏方に回らなければならない。すなわちタイポグラフィとは、そびえ立つ透明性を持つものでなければならない ★9
 
今あるEリーダーはすでに注目を集めている。これからはこのそびえ立つ透明性を目標とすべきだ。
 
 
 

ネットワーク(あるいはEリーダーのソーシャル性)


 
マーク・トウェイン(Mark Twain)★10 、デヴィッド・フォスター・ウァレス(David Foster Wallace)★11 or ポール・ランド(Paul Rand)★12 といった作家たちの書庫を漁ると、本に線が引いてあるって知ってた? ぼくはこういう話が大好き。何が文豪たちの目に留まったんだろう? 線を引いたのはどこの文章なんだろう? のぞき見趣味と言われようと、文章を書く者が惹かれる文章ってなんだろうと思いを馳せてしまう。
 
紙の本を読むとき、下線を引いてメモを取る。ページの角を折って印をつける ★13 。読み終わると、本の後ろの白ページにまとめを書いておくんだ。
 
こんなクセがあるのは、ぼくだけじゃないよね?
 
 
集合知というさらなる広がり
 
考えてみて。同じKindleの本を1万人が読んで、下線を引いたりメモを取ったりしたとする。これを集合知としたら面白くないか? ぼくが書き込んだメモを他のKindleユーザーやiBooksユーザーに読んでほしいと思ったら、そういうシステムがあってもいいんじゃないか?
 
1万人の読者が電子本に下線を引いた部分がどう重なっていたか見てみたい。これが本当の「虎の巻」かも。「Cliff Notes」のデレク・サイヴァース(Derek Sivers)がまとめてくれなくても(デレク、ごめん! ★14 )お互いの下線部分をデジタルで読めたら、それがいちばんのまとめじゃないか?
 
みんなが飛ばし読みしたところや、読み返したところが「ホット」「コールド」の足跡として残るのはどうだろう? 長ったらしいオバマの評伝のどこの部分は外せないか、ってわかるんじゃないか?(図7)
 
ステファン・サグマイスター(Stefan Sagmeister)が村上春樹の新作を読んで下線を引いた部分を公表してくれないかな。ぼくなら見たい。キミもだろ?
 
本を買うとき、他の読者がどのぐらい読み進んだか、途中でやめたのか知りたいな。みんな最後まで読んだのか、途中で投げ出した人が多かったのか? どのぐらいメモをとったんだろう? どこに線を引いた?
 
こういう情報が蓄積されれば、そのテキストを評価する究極の指標になる。本がデジタル化されなければ、わからないか、憶測でしかない指標だ。こういう情報にアクセスして分析するシステムがあっていい。そしてそのアクセスはEリーダーでの読書にシームレスに組み込まれているべきだ ★15

図7 下線部マップ ――読者が線を引いたところが重なりあった情報が見られる

図7 下線部マップ ――読者が線を引いたところが重なりあった情報が見られる


 
 
自分バージョン
 
こうやって下線やメモ書きをしながら本を読んだ後、自分だけのまとめコピーが作れたらいい。下線を引いた部分とメモだけを取り出す。これを書き出して自分にメールしたり、場合によっては、自動的に再レイアウトしてPODで自分だけの本にするとか。
 
 
Eリーダーを超えて
 
電子本はEリーダーに縛られる必要はない。テキストというのは巧みに加工できる。誰もがアクセスできて閲覧できる方法が必要だ。つまり、電子の本はオンライン上にあるべきだ。Amazonはこれを「なか見!検索」というやり方で実現している。著作権を侵さずテキストに部分的にアクセスできるシステムになっている。
 
たとえば、『On Writing Well』という本で、すばらしい箇所に遭ったとする。ツイッターの皆に知らせたい、と思ったらKindleのアプリ内でできるはずだ。テキストの一部分をハイライトして「シェア」を選択する。するとKindleがその部分のテキストを切り取ってツイートにリンクを貼ってくれる。フォロワーはこのリンクをたどってAmazonのサイト内の指定されたページにたどり着ける。前後の文を読んでみて、面白そうだったら買う。もしその本をすでに持っていたら、ウェブ上でも読める。
 
 
新しい読書の基礎
 
これまで読書といえば、それは紙の本の中で終始する、基本的に孤独な作業だった。でももうそうじゃない。
 
いろんな理由で電子本に期待している。だけどマルチメディア性にではない。電子本のもっとメタ的な可能性にワクワクしてる。リチャード・ナッシュ(Richard Nash)が言うように「同じ本を読んだ人間のつながり」★16 の実現に対して、だ。
 
だからここでひと息入れて、スタイルだけにこだわるのはやめよう。スタイルの店なんてないんだから ★17 。紙の本の焼き直しみたいなメタファーはまだ取り返しのきくうちにやめようよ。
 
代わりに、基本に帰ってタイポグラフィやページのバランスを改善する。考え抜かれたネットワーク(ソーシャル)メディアとしての機能を組み込む。読者の権利を尊重してこそ、この新しいカンバスを探検する立場に立てるんだ。
 
[ぼくらの時代の本 第3回 了]
 
 
 
Note
 
★1│オリバー・ライゲンスタイン Designing for iPad: Reality Check(iPadのためのデザイン)
 
★2│スティーブン・コールズ What the iPad is Missing(iPadに欠けてるもの)
 
★3│サム・ウィック Books, Typography and the iPad(本とタイポグラフィとiPad)
 
★4PMN Caecilia(フォント)
 
★5│ティム・オライリー、デイビッド・ガレンター、ライザ・デイリー、サム・キャプラン、エミリー・チャング、マックス・キースラー The iPad in the Eyes of the Digerati(コンピュータ通から見たiPad)NYタイムズ、2010年4月6日
 
★6│テッド・ランダオ File Sharing with an iPad: Ugh!(iPadでファイル共有:ウエッ!)ザ・マック・オブザーバー、2010年4月6日
 
★7│このようなマーケットプレイスが読者の間で定着しつつある今だからこそ細部が重要。Kindleアプリはまだまだだけど、それでもぼくは半年前にiPhoneにインストールして使ってる。ある意味でAmazonはぼくを囲い込んだとも言える。iBooksで読む必要もないし、読む気にもならない。iBookstoreの品揃えと価格がAmazonにひけを取っている今は特に。
 
★8Instapaper.com
 
★9│リズ・ダンシコ As Transparent as Typography(タイポグラフィの透明性)ボビュレイト、2007年9月6日
 
★10│Mark Twain, Self-Appointed Literary Critic(マーク・トウェイン、自称書評家)NYタイムズ。「ここではマーク・トウェインが残した蔵書を閲覧できます。本を開いてみるとマーク・トウェインは読んでいる本の余白に注釈や修正を書き込まずにはいられなかったことがうかがえます」
 
★11What David Foster Wallace Circled in His Dictionary(デヴィッド・フォスター・ウァレスは辞書の何を丸で囲ったか)スレート、2010年4月
 
★12│ウィリアム・ドランテル Paul Rand: Bibliography as Biography(ポール・ランド:伝記という参考文献)デザイン・オブザーバー、2003年9月3日
 
★13│ノートを書き込んだページはその右下を折り、右上は栞の代わりに折る(ぼくはページを折るのは平気)。特に重要なページを見つけたら、左下を折ることにしている。
 
★14│デェレック・シバーズ Book I’ve finished recently(私が最近読んだ本)
 
★15│これは「Enhanced Editions」がすでに行っている。彼らが追跡する読書行動は、どのページを読んだか、いつ読んだか、どのくらいの時間読んだか。Enhanced Editionsのピーター・コーリングリッジCEOはTOCですばらしい講演をした。彼の次の講演は2010年2月の予定。
 
★16│Nash on the future of publishing(ナッシュが語る出版の未来)2010年4月(ビデオ)
 
★17│ウィリアム・ジンサー On Writing Well(執筆術)

 
 
 
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テキストに愛を ――こんなEリーダーが大事
オリジナル執筆:2010年4月
クレイグ・モド 著
大原ケイ 訳
★本記事は、大原ケイさんによる翻訳版
電子本に取り組むということ」をもとにしています

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『ぼくらの時代の本』
クレイグ・モド
訳:樋口武志 大原ケイ


美しい紙の本/電子の本
ボイジャーより発売中


電子版 本体900円+税
印刷版 本体2,000円+税(四六判240頁・縦書)

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PROFILEプロフィール (50音順)

クレイグ・モド

作家、パブリッシャー、デザイナー。 拠点はカリフォルニア海岸地域と東京。 MacDowell Colonyライティングフェロー、TechFellow Award受賞、2011年にはFlipboardのプロダクトデザインを担当。New Scientist、The New York Times、CNN.com、The Morning News、Codex: Journal of Typographyなど様々な媒体に寄稿している。 http://craigmod.com

[本章翻訳]大原ケイ(おおはら・けい)

日本語の本も英語の本も同じぐらい読んできたバイリンガル。講談社アメリカ、ランダムハウス・アジアなど、日米双方の出版社に勤めた後、翻訳権のリテラリー・エージェントとして独立。現在はフィクション、ノンフィクションを問わず日本の著者の作品を英語圏の出版社に紹介するべく、東京とニューヨークを往復する日々。著作に『ルポ電子書籍大国アメリカ』(アスキー新書、2010)。アメリカの出版事情などをブログ「本とマンハッタン」で発信。(http://oharakay.com)。