第17回「京都編」
近くにあるのに、なかなかたどり着けない本屋さんがあります。
そんな本屋さんも「世界の果ての本屋さん」なのだと思います。
今回は、京都。何度も本屋さん巡りはしたことがありますが、
どうしてもたどり着けない迷宮のような場所がありました。
探し歩くこと、30分。ようやくたどり着きました。
京都御所近くの今出川(東小川通寺之内下ル)の町家が、今回の目的地です。
町家古本はんのき。今年で、5周年を迎えるそうです。
古書店の3人が運営するシェア型古書店です。
シェアハウスは、よく聞きますが、シェア書店は、なかなかありません。
外に置かれている本も京都っぽい配置です。
中に入ると……、土間がいい感じです。
築100年は超えている京町家を自分たちで改装したそうです。
町家古本はんのきは、古書ヨダレ、古書思いの外、古書ダンデライオンの3人による共同店舗です。
3人の個性が、一枚の織物のように空間を埋め尽くしています。
哲学、思想、民俗学、美術、音楽など。古い雑誌などもあります。
3店舗の共同経営だからこそ、できる不思議なセレクトです。
世代もジャンルもミックスされています。
ひとりがここにこの本を入れたら、その隣にもうひとりが関連する本。
といった具合に本が追加されていくそうです。
共同キュレーションといった感じでしょうか? なんか新鮮です。
店長は日替わり。本日の店番は「古書思いの外」佐光さんです。
実は、古書ダンデライオン中村さんは一度、ブックオカのイベントで会った事があり、
いつか来なくては……と、ずっと思っていたのです。
とにかく静かな町です。
京都の片隅に、このような時間の止まった古本屋さんが存在する事をうれしく思いました。
道のりは大変だけど、ここに行くためだけに京都に来てもいいと思います。
「ブックシェア」でなく「ブックショップシェア」というスタイルにも、未来を感じます。
結局、本とは束ねた時間の事なのかもしれない。
土間を踏みしめながら、そんな事をしみじみ感じる事ができる場所でした。
[世界の果ての本屋さん:第17回 了]
(次回の世界の果ての本屋さんは「北海道最北編」です!)
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