第16回「福島編」
今回の世界の果ての本屋さんは、自分にとって一番近くて遠い場所です。
僕の7代前の先祖は、福島県二本松の出身。
しかし、自分の原点である町を見たこともありません。
思い切って訪ねてみました。東京からたったの1時間半ほどで福島駅に到着です。
まずはTSUTAYA 川俣店に行きました。
品揃えは豊富です。近所には、町の本屋さんは見当たりませんでした。
どうやら自分の祖先が生まれた場所の最寄りの本屋さんかもしれません。
この町には、遠い親戚もきっとたくさんいるはず。
しかも、通りの名前が「中村街道」、これは気になる……。
続いて、南相馬市の中心部にやってきました。
ここは東京電力の福島第一原子力発電所から20キロ圏内の少し外れに位置しています。
原発事故で避難指示が出ている地域にもっとも近い町。
喫茶店はどうなっているのか気になります。
穏やかに、にぎわっています。
こだわりのコーヒーを入れてくれるご主人。
地元野菜を使った手作りピザがおいしいです。
かなり復興が進んでいる印象です。
ちなみに南相馬にはTSUTAYAもあり、
駅の近くには「文芸堂書店」という本屋さんもありました。
震災後は、心のケアに「本」や「映画」が、とても役に立ったと言っていました。
そして、もう一軒すごい本屋さんが……。
福島第一原発から直線距離で約25km地点に一軒の本屋さん。
おおうち書店です。
3月11日の震災直後の4月18日から営業を再開したそうです。
店内は、本が所狭しと積まれています。
震災写真集や避難中の子どもに送るためのコミックなどが売れていたようです。
地震の直後は、とにかく地図がたくさん売れたのだとか。
避難するために、「紙の地図」が必要だったそうです。
棚を見ているだけで胸が熱くなります。
あまり多くを語る事ができません。
ご主人の大内一俊さんです。
親切に震災直後の事を聞かせてくれました。
●詳しくはこちらから: http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs/memorensai_44.html
それにしても並べ方がすごい。インパクトがあります。
お客さんの急激な需要に対応するために考えられた積み方なのだとか。
福島の南相馬市へ行く機会があったら、ぜひ「おおうち書店」に立ち寄ってみてください。
町の本屋さんのあるべき姿が、再確認できます。
ちなみに、福島第一原発から20キロ圏内ギリギリのところには、
セブンイレブンも通常営業していました。
誰も住まなくなったこの地域の、真っ暗な闇の中に光り輝くライトが雨に濡れて、
見た事のない景色をつくり出していました。
[世界の果ての本屋さん:第16回 了]
(次回は、北海道最北端の本屋さんへ!)
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