COLUMN

ナカムラクニオ 世界の果ての本屋さん

ナカムラクニオ 世界の果ての本屋さん
第2回「ニカラグア編」

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第2回「ニカラグア編」

中米ニカラグアは、廃墟だらけだった。
人口の8割が、1日の生活費2ドル以下の貧困層。
町の中央にある大聖堂も40年前の大地震で壊れたまま。

ニカラグア1

ニカラグア2

ちなみに、ニカラグアのオルテガ大統領婦人は、現役の魔女だそうで、
しばしば「魔女の国際会議」が開かれているのだとか……。
黒魔術は、1回20ドル位。気軽に呪いをかけたり出来るそうです。
いろいろと、謎が多い国。町にも本屋さんなど無さそうな雰囲気です……。
しかし、聞いてみると、首都のマナグアに本屋さんが数軒あるとのこと。

ようやく探した本屋さんは、デパートの中にありました。

ニカラグア3

本屋さんの入口には、警備員がいて、鞄は、ロッカーに預けなければいけません。
(南米の本屋さんでは、良く見かけるシステムです)

ニカラグア4

本は高級品。「贈り物」としてよく使われるようです。
ちょうどこの日は、母の日の前日。
きれいにラッピングされた本がたくさん並んでいました。

ニカラグア5

その中に、日本の本を発見。よく見ると……川端康成の『kioto(古都)』……。
そして、もう一冊が、なんと片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』でした。
まさかニカラグアの中心で、この本に出会うとは思いませんでした。

ニカラグア6

ブルーフィールズという小さな町に着き、再び本屋さんを探してみました。
タクシーの運転手さんに
「最近買った本は何か?」と、聞いたら
ルベン・ダリオの詩集だ」という答えが返ってきました。
ルベン・ダリオは、ニカラグアの国民的詩人。
しかも、本は高級品だから、3ケ月に1冊くらいしか買えないんだとか。
電子書籍などもまだ普及しておらず、普通に新聞とか本は、紙で読んでいる。
高温多湿で雨ばかり降っていて電子機器など持ち歩けない。
ニカラグアには紙の本が似合う。

そんな中、ついに発見。
ここが町で、一番大きな本屋さん。

ニカラグア7

ニカラグア8

しかし、置いてあるのは、ほとんど文房具ではないか……。
店員さんに聞くと、この本棚が全部だという。

ニカラグア9

本は、わずか20種類……。
全部で50冊ほどしか在庫が無い……。

ニカラグア10

店員さんに好きな作家を聞いたら、
やはり「ルベン・ダリオ」の詩集が好きだと教えてくれた。
中でもおすすめは『AZUL(青)』という作品らしい。

毎日、雨が降ったりやんだりで、ジメジメした日が続いている。
でも言葉の雨で、紙は濡れない。
やはり紙の束がいいなと思い、一冊本を買った。
読めないけど、ルベン・ダリオ。
日本に帰ったら翻訳本を探してみよう……。

[世界の果ての本屋さん:第2回 了]
(次回は、中東「ヨルダン編」です!)

【ニカラグアについて】
スクリーンショット(2013-11-05 12.38.22)正式国名:ニカラグア共和国(Nicaragua)
首都:マナグア(Managua)
面積:12万9541平方キロメートル(日本の約1/3)
人口:約515万人
宗教:ローマカトリック
公用語:スペイン語
アクセス:日本から飛行機の直行便はなし。乗り継ぎで約21時間。
[「ニカラグアガイド」内、「ニカラグアについて」のページより]


PROFILEプロフィール (50音順)

ナカムラクニオ(なかむら・くにお)

1971年東京生まれ。荻窪にあるブックカフェ「6次元」店主。フリーランスで美術や旅番組などのディレクターとして番組制作に携わり、これまでに訪れた国は40ヶ国以上。趣味は世界の本屋とカフェ巡り、うつわの金継ぎ。+DESIGNING「デザインガール図鑑」、朝日小学生新聞「世界の本屋さん」mille「世界の古道具屋」連載。著書に『人が集まる「つなぎ場」のつくり方~都市型茶室「6次元」の発想とは』(阪急コミュニケーションズ)がある。