COLUMN

ナカムラクニオ 世界の果ての本屋さん

ナカムラクニオ 世界の果ての本屋さん
第1回「パプアニューギニア編」

世界の果ての本屋さんバナー第1回「パプアニューギニア編」

南太平洋にあるパプアニューギニアは、赤道のすぐ南に位置し
世界で最も言語の豊かな国」とも呼ばれています。
険しい山に囲まれ部族間の交渉が少なかったことで、
小さなコミュニティが独自の文化を発達させ、
人口約600万人に対して、言語の数は800以上。
しかし、長い間、文字を持っていなかった国……。

本屋さんなどあるのでしょうか?

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首都のポートモレスビーで、町行く人々に聞いてみると、
みんな「本屋なんて行った事がない」と言う答えが……。

しかし、探してみると……ようやく文房具屋さんの一角に発見!
ちいさな本屋さんがありました。

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しかし、置いてあるのは学校の教科書ばかりで、雑誌は2種類だけ。
その2誌とも意外な事に、ファッション誌でした。
ちなみに、こちらの雑誌の表紙は、ミスパプアニューギニアです。

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その他、売られている本は、ほとんどが地図と教科書のような民話ばかり。
しかし、彼らにとっては、村の長老から代々語り継がれた大切な物語です。

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火はどうやって生まれたか? とか、ワニはなぜ神様か? など自然のなりたちが
絵本のように細かく描かれています。

お店の人に聞くと
私たちは、物語の一部です。
(物語は)文明よりも大切で、親から受け継いだ自分の物語を誇りに思っています

と言っていました。

今でも口から口へと先祖代々の物語を語り継ぐパプアニューギニアの人々は
「歩く絵本」のような存在なのです。

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ちなみに、セピック川周辺の先住民の村で今、流行っているのが、
なんとフェイスブック

電話会社がアンテナを立てた事で、この1年位で、急速に広まったそうです。

洋服も着ていない、靴も履いていない人々が、スマホやパソコンを持ち始めたという
すごい展開に、驚きました。

紙の本を読んだ事が無い人々が、いきなり電子書籍を読んだりするって、
どんな気持ちなんでしょうか?

ちなみに、お世話になった家のおじさんは、
「若い奴らがみんな携帯電話を欲しがって困る」と言っていました。
電気の通ってない村では、発電機で充電しなくてはならないのです。

でも、こんな風景が、まるで「新しい民話」のように感じました。

[世界の果ての本屋さん:第1回「パプアニューギニア編」了]
(次回は、南米「ニカラグア編」です!)

【パプアニューギニアについて】
スクリーンショット(2013-10-21 21.05.00)アクセス:成田空港から首都・ポートモレスビーまで直通便で約6時間半。
面積:46.2万平方キロメートル(日本の約1.25倍)
人口:606万人
首都:ポートモレスビー(Port Moresby)
国の構成:ニューギニア島の東半分をはじめとする600の島々からなり19州と1都
言語:英語(公用語)、ピジン語、モツ語等 (その他、約800の言語)

パプアニューギニア政府観光局のページより]


PROFILEプロフィール (50音順)

ナカムラクニオ(なかむら・くにお)

1971年東京生まれ。荻窪にあるブックカフェ「6次元」店主。フリーランスで美術や旅番組などのディレクターとして番組制作に携わり、これまでに訪れた国は40ヶ国以上。趣味は世界の本屋とカフェ巡り、うつわの金継ぎ。+DESIGNING「デザインガール図鑑」、朝日小学生新聞「世界の本屋さん」mille「世界の古道具屋」連載。著書に『人が集まる「つなぎ場」のつくり方~都市型茶室「6次元」の発想とは』(阪急コミュニケーションズ)がある。