※下記からの続きです。
内沼晋太郎の本屋雑録 001「フランクフルトブックフェアに行ってみた・その1」
内沼晋太郎の本屋雑録 002「フランクフルトブックフェアに行ってみた・その2」
フランクフルトブックフェアは主に版権交渉の場ですが、今回のぼくたちは版権交渉に来たわけではなく「いったい、フランクフルトブックフェアとはどんなものであるのか?」を見学に来た、いわゆるフリーの見物客です。
しかしそれでも、世界中の出版社が集まって本を展示したり、いろんな場所で無料セミナーやトークイベントなどが企画されているので、十分に楽しむことができました。前回も書きましたが、最初に入ったこの8.0館「Internationale Verlage」は、英語圏の出版社が中心。さっそく(もとい、その3にしてやっと)中を紹介したいと思います。
入ってすぐの場所で一番の存在感を放っていたのは、出版社ではなくkoboのブースでした。なんと2階建て!経営的には楽天の子会社になっていますが、ブランド上、本国では出していないようです(なのに、日本から本国サイトにアクセスしようとすると、楽天koboにリダイレクトする仕様になっているのはどうかと思いますが……)。
ちなみに8.0館に限らず、いくつかの館の中にちょこちょこと「デジタル・イノベーション」というエリアが設けられているのですが、ブックフェア全体としてデジタルの機運が盛り上がっていたかというと、個人的には思っていたほどでもないという印象を受けました(現代ビジネスの記事では「目立っていた」と書かれていたので、あくまでぼくの個人的な感想です)。同じく端末系で、こちらはnook。
Googleのブースはスマート。Google playがメインです。
その軽やかなGoogleの隣が、世界最大の出版社であるランダムハウスという配置も皮肉(?)が効いています。村上春樹氏の顔もパネルになっていますね。
ランダムハウスのブースでは、本の表紙がまるで映画のポスターグラフィックのようだなと思いました。
そしてもちろんペンギンブックスのブースもあります。この7月にランダムハウスと合併が完了し、経営的にはペンギンランダムハウスとなったわけですが、合併後も編集体制は別とのことで、ブースも別。やっぱりこの、ペンギンマークの存在感は強いですね。
ハーパーコリンズのブースも目立って、大手出版社の風格を出していました。
一転してこちらは白を基調にしてシンプルなファイドン。奥が商談スペースでしょうか。
アート系が集合している館は別にあるのですが、敢えてこちらの「Internationale Verlage」に出しているところは大手が多い印象です。こちらはテームズ・アンド・ハドソン。
食・料理系も同様、専門の館がありますが、こちら側に出しているアンティーク調のオシャレなブースは、イタリアの食べもの系出版社フード・エディトーレ。
大学出版系も。こちらはオックスフォード。
また日本企業でもいくつか、この8.0館に出しているところがありました。こちらは大日本印刷と丸善。
一方の凸版印刷。
大手印刷系だけではありません。こちらはサンマーク出版(いまいちな写真でごめんなさい)。
またブース以外にも、このようなステージプログラムが至るところで開催されています。この8.0館のものは英語圏中心なのでトークも英語でしたが、他の館はドイツ語のところも多いです。
なんとなくフランクフルトブックフェアの雰囲気を感じていただけたでしょうか。まだまだ続きます。
[その4へ続く]
※「内沼晋太郎の本屋雑録」は、DOTPLACE編集長・内沼晋太郎による不定期コラムです。
COMMENTSこの記事に対するコメント