COLUMN

鷹野凌 今月の出版業界気になるニュースまとめ

鷹野凌 今月の出版業界気になるニュースまとめ
第1回「出版業界気になるニュース2014年回顧」

takano
 ブログ『見て歩く者』で、毎週月曜日に「出版業界関連の気になるニュースまとめ」という記事を配信している、フリーライターの鷹野凌と申します。ブログでは個人的に気になった業界ニュースを週10本くらいピックアップし、気になった理由、これまでの経緯説明、感想、ツッコミ、応援などのコメントを付けています。

 DOTPLACE編集長の内沼晋太郎さんから依頼を受け、今後はこの「気になるニュースまとめ」を月1ペースで連載をさせていただくことになりました。第1回目は年末ということもあり、2014年の出版業界を振り返ってみます。

 なお、私個人の興味に依るピックアップなので、著しく電子出版関連に偏っていることを予めお断りしておきます。また、私が書いた記事も結構混ざってます。そりゃそうです。だってライターの私が興味を持って追いかけている分野なんですから。

7月に行われた第21回東京国際ブックフェア開会式の様子

7月に行われた第21回東京国際ブックフェア開会式の様子

年初にはこんな予測をしていた

 まず、私が年初に予測していた2014年の動きについて。私が注目していた動き、と言ってもいいかもしれません。簡単にまとめると、以下の5つです。

(1)電子図書館界隈に注目が集まる
(2)タブレットの大型化と高解像度化
(3)PC向けビューワのリリースと(4)電子雑誌の盛り上がり
(5)メジャーなマンガ誌が紙と電子を同時配信し始める
(6)セルフパブリッシングの作家やサービスが脚光を浴びる

 PC向けビューワのリリースと電子雑誌の盛り上がりは表裏一体と捉えていたので、1つにまとめていました。この記事では、別々に検証します。

(1)電子図書館界隈に注目が集まった?

 これは、電子取次のメディアドゥが2013年11月20日に東京証券取引所マザーズ市場に上場したので、2014年は大きな動きを見せるだろう、というところからの予測です。メディアドゥは電子図書館サービスで世界最大手のOverDriveと2012年に業務提携しており、日本への展開準備を進めていました

 実際2014年には、メディアとOverDriveは2014年5月13日に、これまでより一歩進めた戦略的業務提携を発表し、国際電子出版EXPOや図書館総合展にも出展、慶應義塾大学メディアセンターとの実証実験も開始しています。
 ▶メディアドゥ、米OverDriveと戦略的業務提携――電子書籍を「買う」「借りる」推進 – ITmedia eBook USER ※2014年5月13日
 ▶世界ナンバーワン電子図書館システム「OverDrive」の実力 -INTERNET Watch ※2014年7月8日
 ▶メディアドゥ、OverDrive電子図書館システムの実証実験を慶應義塾大学メディアセンターと開始 – ITmedia eBook USER ※2014年11月5日

 「OverDriveがそろそろやってくる」ことは以前から噂になっており、日本でもそれに対抗するかのように、KADOKAWA、講談社、紀伊國屋書店が2013年に日本電子図書館サービス(JDLS)を立ち上げました。こちも2014年10月14日から山中湖情報創造館で電子書籍貸し出しサービスの実証実験を開始しています。
 ▶山中湖情報創造館で電子書籍貸し出しサービスの実証実験がスタート – ITmedia eBook USER ※2014年10月15日

 大学図書館向けには、人文社会系出版社6社が今後の新刊は積極的に電子版も出し、丸善「Maruzen eBook Library」と京セラ丸善システムインテグレーション「BookLooper」で配信するという動きがあります。大学図書予算の約6割が欧米系電子ジャーナルに食われているらしく、それを取り戻すための施策のようです。従来は、学術系出版社コンテンツの電子化がなかなか進まないことがネックになっていると言われており、こうした動きは電子図書館サービス普及拡大への鍵になることでしょう。
 ▶出版6社の学術書を紙版・電子版セットで提供へ – ITmedia eBook USER ※2014年9月12日

 一方、公共図書館向けの電子図書館サービスはまだまだ助走段階であり、『電子図書館・電子書籍貸出サービス 調査報告2014』(植村八潮 編著、野口武悟 編著、電子出版制作・流通協議会 著/ポット出版)によると、電子書籍サービスを実施している公共図書館は38館5%、実施予定なしが539館73%というのが現状です。
 ▶図書館向け電子書籍貸出サービス普及への課題 – マガジン航[kɔː] ※2014年11月13日

 ただ、大日本印刷系の図書館流通センターが、コツコツ地道に利用館を増やしています。特に、4月からブラウザビューワ閲覧に切り替え、アプリのインストールという煩わしい工程をなくしたことが功を奏しているようです。2014年に導入された三田市立図書館、札幌市中央図書館などでは盛況で、関係者も確かな住民ニーズを感じているようです。
 ▶神戸新聞NEXT|三田|電子書籍の利用好調、1カ月で800人超え 三田市立図書館 ※2014年9月11日
 ▶札幌市中央図書館、電子書籍の貸出サービスをスタート – ITmedia eBook USER ※2014年10月30日

 こちらも問題はコンテンツ不足と言われており、図書館の蔵書・貸出情報検索サービス「カーリル」の調査によると半数近くが「All About」の本(?)という状態になっているそうです。私はこのニュースを見たとき、楽天Koboがスタートした2012年の夏のことを思い出しました。つまり、電子図書館サービスの現状は、一般向け電子書店に比べると2年ほど遅れていることになるでしょうか。
 ▶電子図書館サービスの蔵書、今のところ半数近くが“All About本” -INTERNET Watch ※2014年10月27日

 もっとも、2013年の電子書籍市場は8割が電子コミックだったそうで、2014年もその割合が大きく変わっているとは思えません。つまり、「文字モノ」を中心に考えると、電子書店も電子図書館も、あまり大きく状況に変わりはないのかもしれません。
 ▶日本の電子出版物の売り上げ構成比率は5.7%〜電子書籍市場の約8割をコミックが占める | OnDeck ※2014年7月15日

 その他にも、国立国会図書館による「図書館送信」が始まったり、オーディオブックの貸し出しが始まったりと、さまざまな動きがあった1年でした。2015年は、いよいよ電子図書館サービスが助走段階から離陸段階に移る年なのではないかと思います。
 ▶入手困難資料のデジタル版、全国の図書館で閲覧可能に 国会図書館が配信 著作権法改正で – ITmedia ニュース ※2014年1月10日
 ▶オトバンク、公共図書館でオーディオブックをレンタル可能に – ITmedia eBook USER ※2014年7月2日

(2)タブレットの大型化と高解像度化が進んだ?

 こちらの予測は、iPhone 6 の大型化とともに、12.9インチ解像度3840×2160ピクセルのタブレット「iPad Pro」が開発中で2014年中に投入という噂が流れていたことを根拠にしています。ノートパソコンのバリエーションは、11インチと14インチが多いです。だからタブレットも、片手で持てる7インチ級、持ち運びに便利な10インチ級、持ち運びにはちょっと辛いけど大画面で楽しめる12~14インチ級というバリエーションに落ち着くと予想。大型 iPad の投入が端緒となり、他社からも次々と大型タブレットが発売されると考えたのです。

 ところが結局、iPhone 6 / 6 plus や Android でも、スマートフォンでは5インチ超えの大型・高解像度端末が次々投入されたものの、大型 iPad は2014年には登場しませんでした。Microsoftの Surface Pro 3 が12インチを出しましたが、Google Nexus や Kindle Fire シリーズは9~10インチどまり。予測は見事に外れました。

 ただ、今度は12.2インチの大型 iPad という噂が再浮上しており、来年こそタブレットの大型化が始まる年になるのではないかと思います。2012年の iPad 第3世代が652gだったのに対し、2014年のiPad Air 2は同サイズで437gです(どちらもWi-Fiモデル)。端末の軽量化はどんどん進んでいますから、来年登場する12インチ級タブレットは600gを切るくらいになるのでは。
 ▶12.2インチの大きなiPad Air詳細情報。登場は来年4月~6月? : ギズモード・ジャパン ※2014年11月30日

(3)PC向けビューワはリリースされた?

 これは、楽天KoboがPCビューワを第1四半期中に出すと宣言していたので、同じように海外ではPCビューワを提供しているのに日本向けには出していないKindleストアやReader Storeや他社も必ず追随するだろうという予測です。閲覧する画面の大型化や高解像度化と、電子マンガ誌や電子雑誌の盛り上がりとは、表裏一体の動きになると想像していました。

 実際、2013年時点では、Kindleストアや楽天Koboには、まだ電子雑誌があまり配信されていませんでした。なかったのです。6インチの電子ペーパー端末や7インチクラスのタブレットで雑誌を読むのはかなり辛いし、10インチでも文庫本を広げたのとほぼ同サイズ。電子雑誌を読むなら、大画面で見られるPCビューワか、12インチ級タブレットの普及が必要だと考えていました。

 楽天Koboは予告通り、2014年に入ってすぐにPCビューワをリリースします。
 ▶楽天Kobo、PCでも電子書籍を閲覧可能に、デスクトップビューアー機能追加 -INTERNET Watch ※2014年1月24日


 しかし、他社からリリースされるのはブラウザビューワばかりでした。スクリーンショット禁止などDRM(Digital Rights Management: デジタル著作権管理)を施す関係上、PCにインストールするアプリケーション型がまだ主流だろうと思っていたので、ここでは少し予測を外しました。
 ▶シャープ、ブラウザビューワを発表 – ITmedia eBook USER ※2014年1月31日
 ▶セルシスの電子書籍ビューワ「BS Reader for Browser」がソフトバンクの「スマートブックストア」に採用 – ITmedia eBook USER ※2014年4月11日
 ▶コミックシーモアに新機能、専用アプリが不要な「ブラウザ読み」がスタート – ITmedia eBook USER ※2014年6月17日
 ▶Reader Store、ブラウザビューワの提供開始 – ITmedia eBook USER ※2014年6月26日
 ▶GALAPAGOS STOREもブラウザビューワを用意――試し読みから順次拡大 – ITmedia eBook USER ※2014年6月30日
 ▶ブラウザで本が読める「Kindle Cloud Reader」が利用可能に – ITmedia eBook USER ※2014年9月19日
 ▶PCブラウザ版「LINE マンガ」にセルシスとメディアドゥのブラウザビューワソリューションが採用 – ITmedia eBook USER ※2014年10月22日
 ▶GALAPAGOS STOREで「ブラ読み」、試し読みがブラウザビューワで可能に – ITmedia eBook USER ※2014年12月12日
 ▶電子書店「コンテン堂」にブラウザビューワが導入、音付きコンテンツにも対応 – ITmedia eBook USER ※2014年12月25日

 どこも見事にブラウザビューワです。この動きは恐らく、LTE回線の普及が後押ししているのでしょう。つまり、モバイル端末&ブラウザビューワでも、あまりストレスなく閲覧できるほどの通信速度が実現できるようになってきた、ということです。2015年から始まる、docomoの「LTE-Advanced」などの真の4G回線サービスは、こういった動きを加速するのかもしれません。

 もっとも、ブラウザビューワはストリーミング配信であり、ダウンロード型に比べると配信を止めるのも容易であることも無視できません。つまりブラウザビューワは、よく言われる「電子書籍は購入ではなくレンタル」という状態により近いのです。

(4)電子雑誌は盛り上がった?

 PC向けビューワがリリースされるのと同時に、雑誌の電子化が一気に進み、定期購読契約やプッシュ型で自動配信、定額読み放題サービスの普及といった動きが起こると予測していました。実際、そういったサービスが次々投入され、電子雑誌市場も見事に離陸したと言っていい年になったと思います。特に、docomo「dマガジン」はリリースから半年で会員100万人を突破するなど凄まじい勢いで成長しており、出版社にも喜ばれているようです。
 ▶やめたい時にやめられる:Reader Store、「新刊自動購入」など雑誌を楽しむサービス提供 – ITmedia eBook USER ※2014年3月25日
 ▶ドコモ、電子雑誌の定額読み放題サービス「dマガジン」を6月スタート – ITmedia eBook USER ※2014年5月14日
 ▶電子雑誌読み放題サービス「dマガジン」会員数が100万人突破 – ITmedia eBook USER ※2014年12月17日

 電子書籍や電子雑誌をO2O(Online to Offline または Offline to Online)サービスとして提供する動きが次々起きたのも、2014年のトピックスです。Wi-Fiスポットによるエリア限定の閲覧サービスや、書店で紙の雑誌を買うと電子版が付いてくるサービスなど、「こういうのがあったらいいのに」がついに実現され始めた年でもありました。
 ▶GALAPAGOS STORE、イオン幕張新都心店で雑誌閲覧サービス提供 – ITmedia eBook USER ※2014年1月16日
 ▶紙の書籍を買うと電子書籍がもらえる、三省堂が「デジ本プラス」開始 -INTERNET Watch ※2014年3月20日
 ▶首都圏初:楽天Kobo、書店内Koboストアを有隣堂で展開 – ITmedia eBook USER ※2014年4月18日
 ▶楽天とBookLive!が参加――リアル書店で電子書籍が買える「BooCa」 4書店で提供開始 – ITmedia eBook USER ※2014年6月16日
 ▶オタク心わしづかみ、電子書店の聖地 支えるO2O :日本経済新聞 ※2014年7月7日
 ▶NTTソルマーレ、店舗・施設向けのコミック読み放題サービス「シーモアBOOKSPOT」 – ITmedia eBook USER ※2014年7月30日
 ▶【新文化】 – 集英社の主要雑誌15誌、1584書店でデジタル版付録に ※2014年9月16日
 ▶「ViVi」など買うと電子版を無料 講談社の4女性誌:朝日新聞デジタル ※2014年10月29日
 ▶ポット出版、紙書籍に電子書籍を無料で提供する「プラス電書」サービスを開始、まず最新の2作品から ※2014年11月4日
 ▶「Airbook」来週スタート、TSUTAYAで紙の本を購入→自動的に電子版も無料DL提供 -INTERNET Watch ※2014年11月27日

 来年は恐らく、コンビニがこういうサービスの舞台になってくると思います。さしあたって、TカードでCCCと提携しているファミリーマートが最有力ではないでしょうか。

(5)メジャーなマンガ誌は紙と電子を同時配信し始めた?

 この予測は、講談社が2013年の時点で既にモーニングとアフタヌーンの電子版を紙と同時配信開始信していたことを根拠としていました。2014年はいよいよ「週刊少年マガジン」「週刊少年ジャンプ」「週刊少年サンデー」といったビッグネームマンガ誌の電子版配信が始まるだろう、講談社が先行し、集英社と小学館が追随するだろう、という予測をしていました。

 実際のところこの御三家で先陣を切ったのは、集英社でした。しかも、Kindleストアなどの電子書店を使うのではなく、自社アプリによる直接配信です。その上、オリジナルマンガを投稿・公開できるウェブサービス「少年ジャンプルーキー」まで。正直、度肝を抜かれました。まさかジャンプが、CGM(Consumer Generated Media)を始めるとは。
 ▶「週刊少年ジャンプ」をサイマル配信する新アプリ「少年ジャンプ+」公開 -INTERNET Watch ※2014年9月22日
 ▶『週刊少年ジャンプ』デビューも夢じゃない、「少年ジャンプルーキー」プレオープン – ITmedia eBook USER ※2014年11月28日

 冷静に考えてみれば、例えばDeNAの「マンガボックス」が「マンガボックス インディーズ」を始めたり、NHN PlayArtの「comico」は「デジタルのトキワ荘」を目指していたりと、新興IT企業が新人の発掘育成機能を持とうとしているわけですから、出版社自身がやらないわけにはいかない、ということなのでしょう。
 ▶DeNA、「マンガボックス」にマンガ投稿機能–賞金付きランキングイベントも – CNET Japan ※2014年3月28日
 ▶コミックはエンターテインメント――comicoはマンガをこう変える – ITmedia eBook USER ※2014年6月13日

 結局、2014年には講談社「週刊少年マガジン」は電子化されませんでしたが、年明け早々に何か動きがあるようです。謎のティザーサイトがオープンしています。
 ▶1月5日“マガジン”に何かが起こる、講談社が謎のティザーサイトをオープン – ITmedia eBook USER ※2014年12月24日


 2014年はこれ以外にも、電子コミック関連の新サービスが次々登場しています。主に、出版社によるウェブコミック(紙のマンガ誌休刊と裏腹)配信と、新興IT企業による雑誌的な無料マンガアプリと、過去のマンガを読み放題アプリで提供する動き、そして海外向け配信です。動きが多すぎて情報を追いかけるのが大変なほどです。
 ▶KADOKAWA漫画200作品、無料読み放題「ComicWalker」スタート 名作フルカラー化、海外向けに多言語化 – ITmedia ニュース ※2014年3月3日
 ▶「ヤバいぐらいの手応え」 300万DLの無料漫画アプリ「マンガボックス」樹林伸編集長に聞く、ビジネスの展望と「夢」 (1/4) – ITmedia ニュース ※2014年3月17日
 ▶マンガを実況する時代「Dモーニング」の新バージョンに電子書籍の未来を見た(エキサイトレビュー) – エキサイトニュース(1/2) ※2014年4月11日
 ▶「漫画版YouTubeを」――読者が漫画ファイルをアップ、作者の許可得て無料公開 Jコミ「絶版マンガ図書館」で海賊版を撃滅へ (1/2) – ITmedia ニュース ※2014年7月10日
 ▶LINE マンガが700万ダウンロード突破――開始から15カ月 – ITmedia eBook USER ※2014年7月23日
 ▶マッグガーデンの『コミックブレイド』がWebへ移行、『月刊コミックガーデン』の創刊も – ITmedia eBook USER ※2014年8月5日
 ▶『進撃の巨人』も『東京喰種』も:人気のマンガを毎日更新、「LINE マンガ連載」がスタート – ITmedia eBook USER ※2014年8月13日
 ▶時間制で全巻無料・読み放題!! ドリコムが漫画アプリ「ドロップコミック」を今秋リリース – ねとらぼ ※2014年8月26日
 ▶“オモシロそう”が原動力――裏サンデーが始める3つの取り組み – ITmedia eBook USER ※2014年9月8日
 ▶LINE、マンガ海外配信 講談社・小学館と年内に :日本経済新聞 ※2014年10月8日
 ▶ソフトバンクが無料漫画アプリに参入 Jコミとタッグ「ハートコミックス」 “ソシャゲ風”ビジネスモデルで (1/2) – ITmedia ニュース ※2014年10月27日
 ▶BOOK☆WALKERが海外向けサイト立ち上げ、『らき☆すた』などの英語版配信 – ITmedia eBook USER ※2014年10月29日
 ▶カヤック、読み放題マンガアプリ「フルコミ」リリース――第1弾は「キャプテン」 – ITmedia eBook USER ※2014年11月4日
 ▶竹書房の漫画4誌が月額500円で読み放題「まんがライフ GIGA」、無料作品も – ケータイ Watch ※2014年11月17日

 これだけいろいろな動きがあるというのは、「電子コミック事業が儲かるから」に他なりません。いまの電子書籍市場は、完全に電子コミックが牽引しています。こういった動きが2015年には、文字モノにも普及していくといいのですが。

(6)セルフパブリッシングの作家やサービスは脚光を浴びた?

 これは予測というより私自身の願望に近いものがあるのですが、実際のところまだ注目されるのは「サービス」が中心だったように感じます。「作家」では、2013年の成功事例である鈴木みそさんが、2014年も引き続き話題の中心でした。ただ、セルフパブリッシング作家が商業デビューという事例も数多く生まれており、音楽などと同様に、商業とインディーズの垣根がどんどん曖昧になってきたようにも思います。
 ▶3年以内に一億総クリエイター時代を目指す――E★エブリスタ社長が語るスマホ出版界の最前線 – ITmedia eBook USER ※2014年3月19日
 ▶個人クリエイター向けプラットフォーム「note」 テキストや写真、任意の価格で有料販売も – ITmedia ニュース ※2014年4月7日
 ▶ASCII.jp:アマゾンで年間利益1000万円の衝撃――鈴木みそさんの場合 (1/3)|まつもとあつしの「メディア維新を行く」 ※2014年5月23日
 ▶ASCII.jp:作家は1000人の村を育てる術を考えるべき――鈴木みそ氏 (1/3)|まつもとあつしの「メディア維新を行く」 ※2014年5月24日
 ▶【新刊!】アニメ監督一家の物語・記伊孝さんの『アニウッド大通り』が、星海社COMICSで単行本化決定! | 最前線 – フィクション・コミック・Webエンターテイメント ※2014年6月20日
 ▶ボイジャーの電子出版サービス「Romancer」正式リリース、作家の電子書籍制作をサポート – ITmedia eBook USER ※2014年7月1日
 ▶楽天Koboライティングライフが日本で開始 – マガジン航[kɔː] ※2014年12月22日

(番外1)電子書店サービス終了時のあり方

 2014年は、電子書店のサービス終了が相次いだ年でもありました。閉鎖時には購入代金をポイントで全額還元というのがスタンダードになってきており、その流れに反したヤマダイーブックは大炎上しました。この潮流によって、辞めるに辞められない状況に陥っている事業者もあるような気がします。

 今後も電子書店サービスの淘汰は進むと思いますが、TSUTAYA.com eBOOKsがサービス終了時に他社サービス(BookLive!)へ会員を移行したような救済措置や、KADOKAWAのBOOK☆WALKERがやっている本棚連携サービスのような形を、もっと広げていくべきでしょう。
 ▶エルパカBOOKS、電子書籍配信サービス終了へ――Pontaポイントで返金 – ITmedia eBook USER ※2014年1月6日
 ▶スマホ向け電子書籍ストア「地球書店」終了 購入代金を「コミックシーモア」ポイントで返金 – ITmedia ニュース ※2014年2月4日
 ▶ソニー、電子書籍ストアを北米市場から撤退。ReaderユーザはKoboへ移行対応 – Engadget Japanese ※2014年2月7日
 ▶「電子書籍はそもそも所有できない」 相次ぐ電子書店の閉店―専門家はこう見る | ダ・ヴィンチニュース ※2014年3月19日
 ▶電子書籍ストアが閉鎖しても購入済み書籍を補償、出版社側が無料DLサービス -INTERNET Watch ※2014年5月30日
 ▶ヤマダイーブックがサイト閉鎖――購入した電子書籍は無駄に – ITmedia eBook USER ※2014年5月29日
 ▶「買った電子書籍が無駄になる」は「記載不備」 ヤマダイーブックがサービス終了告知についておわび – ITmedia eBook USER ※2014年5月29日
 ▶電子書籍、ルール周知が課題 サービス停止でトラブル相次ぐ 買うのは「読む権利」、利用者と意識に溝 :日本経済新聞 ※2014年7月14日
 ▶ソニー欧州法人、電子書籍端末の新モデルは今後発売しないことを明らかに – ITmedia eBook USER ※2014年8月6日
 ▶ソニーもReaderの後継モデルについて言及、日本では…… – ITmedia eBook USER ※2014年8月6日
 ▶東芝、「電子書籍端末から撤退」報道に「そのような事実はない」 – ITmedia ニュース ※2014年10月6日
 ▶TSUTAYA.com eBOOKsがサービス終了へ BookLive!への移行措置/Tポイント返還を予定 – ITmedia eBook USER ※2014年10月23日

(番外2)ソーシャルDRMの潮流

 「電子書籍は所有できない」というのは、実際には単にDRMで会員をプラットフォームに縛り付けていることから発生する問題です。DRMフリーやソーシャルDRMの電子書籍は、仮に購入元が閉鎖したとしてもファイルは自分のものであり、レンタルではなく明確に「購入」行為であるといえます。DRMフリーやソーシャルDRMは、電子書店サービス閉鎖問題に対する、回答の一つでもあるのです

 これまでも、オライリー・ジャパン、達人出版会、技術評論社、オーム社、ディスカヴァー・トゥエンティワン、「ハリー・ポッター」のポッターモアなどでは、DRMフリーやソーシャルDRMによって電子書籍が販売されてきました。そして、2014年には明治図書出版、JTBパブリッシングと、新たな事例が生まれました。2015年はこういった動きが、さらに加速していくことを強く望みます。
 ▶明治図書出版はなぜDRMフリーの電子書籍販売に踏み切れたのか――担当者に聞いてみた – ITmedia eBook USER ※2014年9月26日
 ▶ソーシャルDRMに合本機能――JTBパブリッシング「たびのたね」はこうして生まれた – ITmedia eBook USER ※2014年12月10日

その他の気になったニュース

 ▶音楽、電子書籍 海外からの配信に消費税、来年度にも 政府税調 (1/2) – ITmedia ニュース ※2014年4月7日/掲載期限切れ
 ▶電子書籍の出版権認める改正著作権法が成立、来年1月施行 – 知財情報局 ※2014年4月27日
 ▶ドワンゴ、電子書籍ビューワー「i文庫」取得 開発者は電子書籍チームに – ITmedia ニュース ※2014年9月25日
 ▶ドワンゴ、読書メーターのトリスタを17億円で取得 – ITmedia eBook USER ※2014年9月26日
 ▶TPPの資料がまた流出、アメリカが著作権に関する戦慄の提案を推し進めていることが明らかに – GIGAZINE ※2014年10月17日
 ▶スキャン代行訴訟、地裁判決に続き知財高裁も作家支持で控訴棄却の判決 – ITmedia eBook USER ※2014年10月23日

 さて2015年はどんな年になるでしょうか。みなさま、よいお年を。

[今月の出版業界気になるニュースまとめ:第1回 了]


PROFILEプロフィール (50音順)

鷹野凌(たかの・りょう)

フリーライター。NPO法人日本独立作家同盟理事長。『月刊群雛』『群雛ポータル』編集長。ブログ『見て歩く者』で電子出版、ソーシャルメディア、著作権などの分野について執筆中。ITmedia eBook USER、ダ・ヴィンチニュース、INTERNET Watch、マガジン航などに寄稿。アイコンは(C)樫津りんご。近著は『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(インプレス)。


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