INTERVIEW

セルフパブリッシングで注目の、あの作家に聞く

セルフパブリッシングで注目の、あの作家に聞く
『彼女のための幽霊』吉野茉莉さん

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セルフパブリッシングの現在に迫るべく、Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシングなどで注目の作家にメールインタビューしていくシリーズ。セカンドシーズンの第5回目は『彼女のための幽霊』を出版されたセルフパブリッシング作家、吉野 茉莉(よしの・まつり)さんです。

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作品紹介

彼女のための幽霊表紙『彼女のための幽霊』は、Amazon Kindleで立ち読みできます。
★10/22(火)夜から5日間「彼女のための幽霊」の無料キャンペーンを行います。
もし未読の方がいましたら是非ともどうぞ。

全四作の「藤元杏シリーズ」第一弾。
北海道の地方都市に住む高校一年生「藤元杏」に起こる、ちょっとだけミステリの青春物語。とある事情により東京から引っ越ししてきた藤元杏は、クラスメイトである「ポチ」を強引につれて生徒会執行部に入部をするが、最初に与えられたのは学内で起こった「幽霊騒ぎ」の調査だった。
一週間という期限の中で彼らは証言などを集めて行くが、まさに彼女たちの前に幽霊が現れ、事態は余計な方向へ……

プロローグ「うそつきはうたうたいのはじまり」
月曜日「ウィークエンドロンド」
火曜日「A sleeping spitz」
水曜日「クリームソーダ症候群」
木曜日「五分前は恋人だった僕ら」
金曜日「帰納法的分析(もしくは分散)」
土曜日「万能ガールは恋をする」
エピローグ「うそつきはうたうたいのはじまり」

(縦41×横17文字換算で235P:総文字数100,000文字)

著者プロフィール

yoshino北海道出身、東京都在住。

電子書籍のみの同人作家。
胸キュン小説を好んでいますが、色々書いています。

「彼女のための幽霊」で同人作品で唯一第4回ブクログ大賞[2013] フリー投票部門を受賞いたしました。

 

公式サイト(制作中):http://qql.jp/
ブログ:http://quarterquasilovers.blogspot.jp/
twitter:https://twitter.com/stalemate

メールインタビュー

Q01・性別やご年齢、お住まいの場所、ご所属やご職業とそこで何をされているかなど、お話いただける範囲で構いませんので、吉野茉莉さんについてお教えください。

北海道出身、東京都在住です。
その他、性別、年齢、所属、職業などは公開しておりません。
小説を読むのにそういった個人的な情報が必要ですか?

Q02・そんな吉野茉莉さんが、なぜ『彼女のための幽霊』を執筆されるに至ったのか、その動機をお教えください。

小説を書いた理由は隙間時間ができたからです。
「彼女のための幽霊」のようなストーリーにした理由は人の死なないミステリを、できれば昔のことを思い返しながら青春譚を織り交ぜて書いてみようと思ったためです。
そのときはどこかに公開する予定も、ましてやシリーズ化する予定もありませんでした。
多少の反響をいただいた結果、少しだけ物語を続けることにしました。
ところで、「そんな」とはどういった意味ですか?

Q03・『彼女のための幽霊』の執筆には、どのくらいの期間と時間がかかっていますか。

毎日少しずつ3ヶ月弱かけて書いたようです。
初稿は13万文字だったものを、改稿して10万文字まで削減しました。
同じ内容を伝えられるのであれば短い方が優れているでしょう。
執筆期間と出来不出来は関係ないのでは?
こういった質問をする意味はありますか?

Q04・『彼女のための幽霊』の執筆は、一日のうちのどのような時間に、どのような環境で行われましたか。

帰宅後、就寝前です。
執筆時間は最大で一日一時間としています。
ワープロソフトは現在一太郎を利用しています。
特にこだわりはないと思っていますが、エルゴノミクスキーボード(Microsoft社)とオフィスチェア(岡村製作所Baron)を使用しています。
電卓はSHARP派です。

Q05・『彼女のための幽霊』をセルフパブリッシングするにあたって、参考にされた本やサイトなどがありましたらお教えください。

様々なサイトを参考にしましたが、kindleに出すにあたっては一太郎のePub出力機能を利用しています。
作品の参考としてはV.S.ラマチャンドランの『脳のなかの幽霊』を挙げておきます。

Q06・吉野茉莉さんが作家として、影響を受けていると感じる作家や作品がありましたら、お教えください。

内田百間のように幻想的で、尾崎翠のように瑞々しく、森博嗣のように機能的に、米澤穂信のようにほろ苦い物語をいつか書けるようになりたいです。

Q07・吉野茉莉さんが、最近注目されているものやことをお教えください。

租税法の改正です。
主に所得税法の所得控除と消費税法の国際取引に注目しています。
電子書籍における海外配信に対する消費税の課税議論は随時追っています。

Q08・当サイトでは「これからの編集者」という連載を通じて、セルフパブリッシング時代の編集者の役割についても考えています。もし、作家としての吉野茉莉さんのことを新たにサポートしたいという編集者が現れたとしたら、その人に期待したい役割は何ですか。

「編集者の一部は作家のなりそこないだが、作家の大半もそれである」という言葉を残した詩人(Thomas Stearns Eliot)がいたようですが、今までの編集者を知りませんので、偏った読者の一人として作品をチェックしてくれる方を期待します。小説の読書という現代では比較的マイナな趣味において、今後は大多数が望むものが作れる中立で普遍的な作家や編集者よりは、偏ってはいるが一定数の読者が確保できるものを一定の頻度で提供できる作家や編集者が必要とされるでしょう。

Q09・『彼女のための幽霊』が、今後、紙の本として書店に並ぶとして、この本の隣に並べて欲しいというような本を、3冊挙げてください。

そもそもそのような機会があるかどうか、という根本的な問題がありますが、書店は書店員さんの領域ですので、その担当さんが並べて置きたい、と思ったところで構いません。
似た系統のものを並べるのでしょうか。
もし自分が書店員であれば、もちろん私の作品なので正面入った真ん前に平積みすることでしょう。

Q10・次の作品の構想がありましたら、お話いただける範囲でお教えください。

「彼女のための幽霊」を含む「藤元杏シリーズ」の第四弾であり最終巻の「嘘つきの魔法使い」を来年春前に予定しています。
また、登場人物の一部が被っている「欠陥だらけの多面体と永久なる人形姫」から派生している「アンダ・ヘブン」というシリーズを来年から開始します。全四話で現代ファンタジーとなります。
更にまだプロットを練っている途中ですが、「藤元杏シリーズ」の一部を補完する物語が一作予定されています。
スケジュールに大幅な狂いがなければ、数年は執筆の順番が決まっています。
一つの物語では意図的に伏線の全てを回収せず、他作品で「もしかするとこれはあの作品のあのことでは?」と思わせるように書く書き方を心がけています。おそらく、新人賞の投稿作などでは許されない手法でしょう。
しかし、そういった書き方をしている、読み方もできる、というだけで主たるテーマがあるわけではありません。

Q11・吉野茉莉さんが注目していて、このコーナーで取り上げてほしい、ほかのセルフパブリッシングをされている作者がいらっしゃいましたら、教えてください。

すでに色々な方が様々な方を紹介されているので今さら私が紹介する必要もないかと思うのですが、まだ名前が挙がっていないと思われる方のうち『魔法中年っ!』の皮算積人さん、『光速文芸部』のきうりさん、『京都ブラッド・クラッド』の川人千慧さんを推薦いたします。もちろん、その他にも良い作品を書かれている方はたくさんいます。

Q12・最後に、このインタビューの読者の方に、メッセージをお願い致します。

本インタビューを本気にしないでください。
皆様の日頃のご厚意に感謝しております。

(了)

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