05: 「紙版の電子本」を作ってみた+設置を始めてみた
■そのままフェードアウトするんだと誰もが思っていた
今年の9月のこと。その記事はひっそりとDOTPLACEにアップロードされた。
「紙版の電子本」。
プリントオンデマンドサービスを利用して出力・製本した電子書籍データを敢えてそう呼ぶ、何やら高揚した感じの長いステイトメント。
その設置スペースの応募を呼びかけ、そのまま募集期間が終了したきり動きもなく、すでに2ヶ月ほどが経っている。
誰の目にも企画は流れたかのように見えた。しかし実際は……
募集期間終了の少し前に、1箇所だけ、奇特なお店が名乗りを上げてくれていたのだ。
というわけで、この試みを決行しないわけにはいかない。DOTPLACE LABEL3作品分の「紙版の電子本」を拵え(この度はBCCKSさんの紙本サービスを利用させていただきました。ありがとうございました!)、さまざまな紆余曲折を経て、12月某日にようやく設置させてもらいに伺ってきたのだった。
■ついに設置
名乗りを上げてくれたスペースは、港区・虎ノ門ヒルズの向かい側、「リトルトーキョー」内にある「小屋BOOKS」。
その店長であり、リトルプレス『HAB』の編集・発行人でもある松井祐輔さんは、DOTPLACE LABEL『街の本屋の逆襲』の編集を手伝ってくださったという経緯もあったので(詳しくは『街の本屋の逆襲』の中の内沼晋太郎によるあとがきを読んでいただきたい)、今回も編集部側のグダグダ感を察して手を挙げてくださったのかもしれない。
棚の一部を、DOTPLACE LABELのために空けてもらった。
こんな感じで、本の情報が載った小さいチラシとともに置かせてもらっている。
■「紙版の電子本」の存在そのものに、改めて驚いた話
ちなみに、編集部側でこのたび初めてDOTPLACE LABELの3作品を紙の本にしてみて驚いたことがあった。
『まなざし』は96ページ、
『コルクを抜く』は192ページ、
『街の本屋の逆襲』は224ページとなって手元に送られてきて初めて、編集している側の頭の中ですら、それまで漠然としか捉えられていなかった本のボリューム感が、立ちどころにわかる。それだけのことなのに、この前後の意識のギャップにはちょっとした感動があったのだ。
同時に、これだけのボリュームのある本なのだから、今まで以上に自信を持って人におすすめしたいな、という気持ちにもなった。
■なので、実際に確かめに行ってみてください!
「紙版の電子本」でならもれなく好きな箇所を好きなだけ(もちろん全文でも)立ち読みすることができるので、東京・虎ノ門近辺にお越しの際はぜひ、小屋BOOKSに立ち寄ってみてほしいと思う。それとともに、DOTPLACE LABELの存在を知らなかった人が、ここで偶然出会い、興味を持ってくれるきっかけになることを祈っている。
小屋BOOKS
●所在地:東京都港区愛宕 1-2-1 「リトルトーキョー」内
http://littletyo.com
●営業時間:月〜木 8:30〜23:00 / 金 16:00〜23:00 / 土 12:00〜18:00 / 祝日 12:00〜23:00
●休業日:日曜日・年末年始(12月27日〜1月5日)
●行き方:虎ノ門より
銀座線「虎ノ門」駅「2番」出口からそのまま直進(5分)、「虎ノ門三丁目」交差点を左折し、
100mほどで右側に見えるフレッシュネスバーガーの左隣
●行き方:神谷町より
日比谷線「神谷町」駅「3番」出口を出たら右方向、
桜田通を北方向に直進(5分)、「虎ノ門三丁目」交差点を右折し、
100mほどで右側に見えるフレッシュネスバーガーの左隣
★今からでも設置スペースを提供してみたい!という方は、dotplace●numabooks.com (●→@)までご連絡ください!
●この連載について
オリジナル書籍レーベル「DOTPLACE LABEL」の第1弾として、今年7月に無事『まなざし』、『街の本屋の逆襲』、『コルクを抜く』の3冊を同時発売させたDOTPLACE編集部。めでたく発売まで漕ぎ着けたものの、ここにきて電子本を売るためのノウハウが自分たちにまったくないことに気がつきました。電子本としてのクオリティは自負している、だから絶対に売れてほしい、しかしどうしたらいいか素で見当がつかない……目隠しでサバンナに放たれたも等しい状況。そんな中、素人なりの素朴な思いつきを手当たり次第販売促進企画として試してみることにしたのでした。『まなざし』著者の菅俊一氏監修のもと、効果の大小はいったん脇に置いておいて、この連載ではその思いつきの実践の過程を随時報告していきます。
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