INTERVIEW

セルフパブリッシングで注目の、あの作家に聞く

セルフパブリッシングで注目の、あの作家に聞く
『ゆっくりとオレンジが潰れる』小林楓さん|セルフパブリッシングで注目の、あの作家に聞く

セルフパブリッシングの現在に迫るべく、Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシングなどで注目の作家にメールインタビューしていくシリーズ。第2回は『ゆっくりとオレンジが潰れる』を出版されたセルフパブリッシング作家、小林楓さんです。

作品紹介

ゆっくりとオレンジが潰れる

『ゆっくりとオレンジが潰れる』は、Amazon Kindleで立ち読みできます。

テクノロジー企業の創業者の一人が受けとった奇妙なメール。それは自分の足跡を振り返る旅への入り口だった。乗っ取られ寸前の上場企業経営者、床の下に秘密を隠す作家、断片化された天才エンジニア、喋るマグカップ、河童とロケットと練馬55。猥雑な言葉が世界の残像をシュレッダーのごとく断裁しながら向かう先は……

セルフパブリッシングに新たな衝撃を起こす、ネット作家・小林楓(こばやしふう)の(不)純文学。

日本電子出版協会(JEPA)のセミナー「セルフパブリッシング狂時代」でも話題になった、ハイクオリティ電子書籍がKindleに登場。

装画・表紙デザイン:佐藤直樹(ASYL)/電子版制作:深沢英次(@pictex
文字数・約5万字(Kindke PEの標準フォントサイズで約190ページ)

「ゆっくりとオレンジが潰れる」公式サイト

著者プロフィール

ブログ黎明期より活動してきたネット作家。当時、筆名をもたずハンドルネームのみだった。2004年に発表した長編小説は一部で話題に。2008年に活動休止。今回、Kindleで未公開作を発表。

メールインタビュー

Q01・性別やご年齢、お住まいの場所、ご所属やご職業とそこで何をされているかなど、お話いただける範囲で構いませんので、小林楓さんについてお教えください。

性別は男・40歳を過ぎています。

Q02・そんな小林楓さんが、なぜ『ゆっくりとオレンジが潰れる』を執筆されるに至ったのか、その動機をお教えください。

昔から詩や小説を書いて、ブログ等で発表したりしていました。本作は10年以上前に書きあげたもので、今回、代々木犬助君からの薦めもあり、Kindleでの公開を決めました。

Q03・『ゆっくりとオレンジが潰れる』の執筆には、どのくらいの期間と時間がかかっていますか。

すでに記憶が曖昧ですが、執筆期間は三ヶ月かかっていない気がします。ただ、その後、時代状況の変化にあわせ、細部を少しずつ改訂しました。

Q04・『ゆっくりとオレンジが潰れる』の執筆は、一日のうちのどのような時間に、どのような環境で行われましたか。

もう覚えていないのですが、休日や夜中だったと思います。使用ソフトはフリーのエディタかなにか。当時はAldus PageMakerを使ってレイアウトしながら、また書いて流し込むという作業を繰り返していました。その後、同ソフトは絶版になり、会社もなくなったので、MS Wordが縦書きをサポートをしたのを機に渋々と切り替えました。


Q05・『ゆっくりとオレンジが潰れる』をセルフパブリッシングするにあたって、参考にされた本やサイトなどがありましたらお教えください。

お恥ずかしい話ですが、この本のデザインから販売等までをPICTEXの深沢さんに任せっきりでしたので、わたしは何もしていません。

Q06・小林楓さんが作家として、影響を受けていると感じる作家や作品がありましたら、お教えください。

トーマス・ヘッチェ、アントニオ・タブッキ、スティーヴ・エリクソン、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、ウィリアム・フォークナー、バリー・ハナ、マディソン・スマートベル、リチャード・ブローティガン、北園克衛、ウィリアム・バロウズ、大江健三郎

Q07・小林楓さんが、最近注目されているものやことをお教えください。

a. 飼っている猫 b. バリー・ハナの死去 c. 日中問題

Q08・当サイトでは「これからの編集者」という連載を通じて、セルフパブリッシング時代の編集者の役割について考えています。作家としての小林楓さんにもし、新たにサポートしたいという編集者が現れたとしたら、その人に期待したい役割は何ですか。

好きな作家や作品、社会問題からテクノロジー等幅広く語り合える、かけがえのない友でありつつ、非情な読者として期待します。

Q09・『ゆっくりとオレンジが潰れる』がもし、紙の本になって書店に並ぶとしたら、この本の隣に並べて欲しいというような本を、3冊挙げてください。

中原昌也さん、笹公人さんの隣とか嬉しいですね。書店であれば、「シブヤパブリッシング」。海外なら「City Lights Books」に置かれるような本であってほしいと願います。

Q10・次の作品の構想がありましたら、お話いただける範囲でお教えください。

本作の後に書かれたものですが、本作よりも先にWeb上で発表した長編ほか、短編、詩作等に新作を加えて刊行できればと思います。

Q11・小林楓さんが注目していて、このコーナーで取り上げて欲しい、ほかのセルフパブリッシングをされている作者がいらっしゃいましたら、教えてください。

代々木犬助

Q12・最後に、このインタビューの読者の方に、メッセージをお願い致します。

もし気に入っていただける方がいらっしゃれば、その方がいることが励みになり書き続けられます。こっそりでもいいので感想を教えてください。あと、表紙の絵と装丁を引き受けていただいた佐藤直樹さんと電子組版から販売に関する全般を手がけていただいた深沢英次さんが、本作に新たな光を与えてくれました。本作が気に入らなくても、二人のお仕事を堪能していただければ幸いです。

どうもありがとうございました。

(了)

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