第9回 平積みの一番上に置かれている本は汚い
書店に行くと、この連載の影響というわけではないのだが、ついつい色々な人の行動を観察してしまう。ぼんやり売り場を眺めていると、多くの人が気がつく最も特徴的な行動として「平積みの本を買う時には、何故かみんな一番上の本ではなく上から二番目の本を取る」というものがある。
当初私がこの行動を見かけた時に、その理由として考えていた仮説は「平積みの一番上にある本は、みんなが触ったり立ち読みしたりするため、本が汚くなっている。だから、購入する際はきれいな二番目の本を取っているのではないか」というものだ。
しかし、しばらく観察していると、立ち読みできないビニールで包まれた本であっても、上から二番目の本を取って購入しているケースを見かけたので、必ずしも「立ち読みの繰り返しによって本が劣化しているので上から二番目を購入している」という仮説が正しいとは言えない。
書店に訪れる度にそんなことを考えていたのだが、ある日、その考察をより進められるきっかけになるような出来事が起きた。
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