気鋭のイラストレーターや美術家を月替わりで起用し、本/読むこと/書くこと/編むことにまつわるグラフィック作品を展示する「DOTPLACE GALLERY」。
2015年10月期を担当するのは、「“あらゆる摩擦や抵抗を無くした”機械を創造する」ことを理念に、削ぎ落とされ洗練されたフォルムと筆致に特徴のある絵画作品を盛んに制作する、林香苗武(はやし・かなえ・たけし)さん。「本」という静的なモチーフに対する、林さんならではの応答をお楽しみください。
林香苗武さんに聞きました
――どのようなイメージまたはコンセプトで今回の作品『朗読』を制作されましたか。
「本」、「季節」がお題ということで、割とストレートに記号化しています。
頭の中では映画『華氏451』のラスト、森の中で朗読している映像がずっと流れていました。
日常でも誰かと本を読む時は朗読をします。
――林さんが普段、作品制作の上で重視していることは何ですか。
新しい文字を創るという感覚です。
はじめから速いものを描こうと思ったことはほとんどありません。速度主義というといかにも速そうな印象ですが私自身は全く逆の人間です。
――林さんにとって大切な本を1冊挙げるとしたら何ですか。
伊藤計劃の『ハーモニー』です。ディストピアものが好きで一気に読んでしまいました。
読み終わってから本の著者が「あちら」側に旅立って二年経っていることに気づき、残念な気持ちと、それに勝る物語の終わりのようなものを見た気がしました。
――今後のご活動について何かございましたらどうぞ。
10月3日〜18日にかけて神田のTETOKAで横山裕一氏との二人展が始まります。
是非お越しください。
http://tetoka.jp/archives/2956
『美術手帖』10月号〜1月号の「ART NAVI」表紙を担当させて頂いています。
――ありがとうございました!
[DOTPLACE GALLERY #018:林香苗武 了]
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