INTERVIEW

DOTPLACE GALLERY

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#003:ancco

今月の1枚:『ピンクとブルー』

今月の1枚:『ピンクとブルー』

気鋭のイラストレーターや美術家を毎月起用し、本/読むこと/書くこと/編むこと にまつわるグラフィック作品を展示する「DOTPLACE GALLERY」。
4月期は、唯一無二の色彩感覚でイメージの連鎖を繊細に描き出していく、注目のイラストレーター・anccoさんの登場です。

anccoさんに聞きました

――どのようなイメージで『ピンクとブルー』を制作されましたか。

本で最初に思い出した本がこの1冊でした。
おれがあいつであいつがおれで」という児童書。
長谷川集平さんのが描いたピンクとブルーのイラストが
小学生には刺激的でドキドキしながら手にとり
読んだ場所さえも鮮明に覚えています
思い出のピンクとブルーと思春期初めにであった本から連想させて
扉絵調に描きました

――anccoさんが普段、作品制作の上で重視していることは何ですか。

絵の具のピンクの発光具合を大事にしてます

――anccoさんにとって大切な本を1冊挙げるとしたら何ですか。

小林エリカさんの空爆の日に会いましょう

高校生の時に出会った1冊です
雑誌Zipperでイラストや漫画を描いていて
当時から好きだった小林エリカさん。

空爆の日には他人の家に泊まりセックスもせず、ただ見た夢を書き記す。
「殺戮」を忘れないための日記を記録する
という一文が気になって。

反戦活動の点からは高校生の私には深く考えられなかったけれど
23歳の女性が行動にうつしていることが
日常を平和に暮らしていることへの意識になりました。
そして何より日記がすごく面白くって、
本当はこの人と恋に落ちてしまったんじゃないかとか
一線越えてしまうんじゃないかと最後までずーっと
恋の行方にワクワクしながら読んでしまいました

この本をエリカさんが出したのがたしか23歳の歳で
9.11後に自分と同じ年のエリカさんが書いたんだと思うと
そのささやかにみえる反戦活動の行動力の大きさを感じます。
私が3.11の後、現在24歳で何を考えるか。
大人になってから読んでも改めて考えさせられ、楽しめる1冊です。

――今後のご活動について何かございましたらどうぞ。

シルクスクリーン以外の方法で布に絵を落とし込むことをもっとしたいです。
今年はいまと違うやり方でも絵をたくさん描いていきたいです

――ありがとうございました!

[DOTPLACE GALLERY #003:ancco 了]


PROFILEプロフィール (50音順)

ancco

1989年生まれ。2011年よりあんことして活動をはじめる。日々の暮らしの中でどこかに存在する女の子を取り巻く世界を追いかけている。イラストレーターとしてファッションへの展開やCDジャケットの仕事なども手がける。 http://anccoo.tumblr.com