気鋭のクリエイターを月替わりで起用し、本/読むこと/書くこと/編むことにまつわるグラフィック作品を展示する「DOTPLACE GALLERY」。2021年6月期の担当は、具体と抽象を縫い合わせるような図案表現が魅力的なイラストレーター・画家の杉山陽平さんです。書皮としてプリントして使いたくなるような、あじさいの詩的な造形は、ぜひ画像をクリックで拡大してお楽しみください。
杉山陽平さんに聞きました
——どのようなイメージまたはコンセプトで今回の作品を制作されましたか。
雨の季節なので、お家の中で本を読む機会も増えるかもしれません。
なので6月の花であるガクアジサイをモチーフに絵を描き、それをもちいたブックカバー(見開き)のアートワークを制作しました。
おおらかで気持ちの良い形で表現したガクアジサイとともに季節を感じながら本を読めば、
6月の湿気が多く不快な気分が和らいで、読むということがより一層愛しい時間になるのではないでしょうか。
また花びらを菱形の連なった形にすることで、パターンになったときにもリズム感があり単調な造形に見えないように意識して制作しています。
——普段、作品制作の上で重視していることは何ですか。
モチーフやテーマに対して、独自の造形でいかに本質に迫れるかを重視しています。
画材は主に布に染料、顔料、アクリルガッシュなどを用いており、PCを使ったデジタル作品も制作しています。
アナログとデジタルの両方を制作することでお互いの造形に刺激を与えてくれてるので今後も両方の可能性が追求できればと思います。
——杉山陽平さんにとって大切な本を1冊挙げるとしたら何ですか。
『北園克衛全写真集』 (沖積舎/初版)です。
北園さんの写真やコーラージュを駆使したプラスティックポエムの存在を知って以来ずっと欲しい本の一つです。
具象と抽象の狭間で物事やテーマの本質を探っている美しい作品が自身の作品作りのテーマと重なり、共感と自分とは違った上質な感性が僕の琴線に触れる1冊です。
しかし初版は絶版になっております。
なかなか手に入らないので余計に大切な一冊として印象的なのかもしれません。
(近年復刻版も出版されましたが、初版の方が豪華な造りになっており、そちらの方に物欲が掻き立てられます。欲しいです。)
——今後のご活動について何かございましたらどうぞ。
2021年8月4日(水)から11日(水)/8月17日(火)から22日(日)
グループ展「夏の特別企画 いとしきいのちのいきもの展」 (ヨロコビtoギャラリーにて)
2022年1月下旬 個展開催予定 (ヨロコビtoギャラリーにて)
※詳細決まり次第、snsにてお知らせいたします。
[DOTPLACE GALLERY #081:杉山陽平 了]
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