気鋭のクリエイターを月替わりで起用し、本/読むこと/書くこと/編むことにまつわるグラフィック作品を展示する「DOTPLACE GALLERY」。
2016年5月期のゲストは、書籍や雑誌の仕事に精力的に取り組みつつ、最近ではサヌキナオヤさん、金子朝一さん、かつしかけいたさんの3名とともに発行する同人誌『蓬莱』(ポンライ)でマンガも発表する石山さやかさん。ごく普通の人たちの何気ない生活や、その中に潜むドラマを紙の上に閉じ込めるその伸びやかな線は、普遍的な魅力を放っています。
石山さやかさんに聞きました
——どのようなイメージまたはコンセプトで今回の作品を制作されましたか。
ある本を読んでいるとき、それを読んでいるのは今自分しかいないけれど、本当は他のたくさんの人も同じ本を読んでいる。昔からある本ならば、今までに膨大な数の人間が同じ文章に目を通している。
その文章を通して何を思うかは人それぞれだけど、同じ文字列が複製されて日本中もしくは世界中を何年もぐるぐるしているというのは、改めて考えると愉快なもんだなと思いながら描きました。
——石山さんが普段、作品制作の上で重視していることは何ですか。
頭に浮かんだイメージをなるべくそのまま紙の上に落とす。
正確な線より生き生きした線、見ていて気持ちのいい線を目指す。
美しい人よりも、その辺にいるような人を描く。
——石山さんにとって大切な本を1冊挙げるとしたら何ですか。
『トリツカレ男』いしいしんじ(新潮文庫)。
好きな本やマンガはいくつもあるのですが、頻繁に手に取る小説はこれかなと。
端的にいうと恋の話なのですが、色んな事に夢中になる男が主人公です。
とにもかくにも「〇〇が好きだ!」という気持ちが物事を動かしていくと常々思っていて、
何かに自信がなくなったりするとよく読み返します。薄いのですぐ読み終わります。
——今後のご活動について何かございましたらどうぞ。
①5月後半から「FEEL FREE」というwebコミックサイトで漫画の連載が始まります。
②6月20日に発売される『逆転! ドッジボール』(三輪裕子さん著・あかね書房)という児童書の挿絵を描いています。
③「蓬莱(ポンライ)」という漫画の同人誌に参加しています。3号が8月刊行の予定です。
今年の3月にアルバイトを辞めて、フリーランスのイラストレーターになりました。仕事の幅を広げつつ、自分の表現を磨いていきたいと思っています。
——ありがとうございました!
[DOTPLACE GALLERY #023:石山さやか 了]
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