8月末まで『ヒロシマ・ナガサキのまえに』をRomancerで無料公開中!
この夏、ボイジャーは8月末日まで期間限定で、『ヒロシマ・ナガサキのまえに ――オッペンハイマーと原子爆弾――』をRomancerにて再編集を加え、みなさまに無料公開しています。原爆投下から69年を迎え、この作品を伝え続ける気持ちから、新たな試みをいたしました。
『ヒロシマ・ナガサキのまえに』とは……
1995年、原爆投下50年を迎えるとき、米国スミソニアン航空宇宙博物館で原子爆弾に関する特別展示が計画されていました。この展示方法をめぐり、退役軍人協会などの軍人団体が反発し、結局展示会は中止となってしまいます。当時の米国ボイジャーは、この特別展示中止決定に猛然と抗議し、原爆開発に関わるドキュメンタリー映画『The Day After Trinity』をベースとしたCD-ROM電子出版を刊行しました。ボイジャー・ジャパンはこの意志を継ぎ、翌1996年に日本語版として『ヒロシマ・ナガサキのまえに』を制作、刊行したのです。
急速なテクノロジーの変化は、時として新しい表現や可能性を無に帰せしめます。その後の技術発展は、結果として この作品を閲覧不能の状態へ追いやりました。CD-ROMで試みられたさまざまな工夫は消し去られてしまったのです。そして多くの錯綜した権利関係は、作品の再生を阻んでしまいました。
そこから、なんとかして『ヒロシマ・ナガサキのまえに』を生き返らせる努力が続けられました。そしてRomancerによって復活致しました。不完全なかたちではありますが、本来制作者たちが意図した主旨のほとんどを読み取ることが出来ると思います。
原爆開発に直接関わった科学者たちのインタビュー、この全文がお読みいただけます。 普通映画では、収録されたインタビューはほんの一部しか使わないものです。不採用になったアウト・テイクスは廃棄されてしまうのが普通です。監督のジョン・エルスは、全てのインタビューを記録として保存していました。また、貴重な議事録――原爆投下を決定する会議での、投下都市決定のプロセスなども収録されています。
私たちは核に対して、その直接的被害者でありながら、事実を知ることから切り離されていることを思い知らされるはずです。しかし、記録は厳然と残っているのです。それを読み取るのは私たち自身です。
どうぞ『ヒロシマ・ナガサキのまえに』をお読みいただきたいと思います。
株式会社ボイジャー
■原案・ドキュメンタリー映画「The Day After Trinity」
監督:ジョン・エルス
■翻訳:富田晶子 富田倫生(青空文庫 呼びかけ人)